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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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「チッ!」
 明らかに質量を持った刃。先ほどから何度か放たれたのは、見慣れない魔法だったが――それ以上に問題なのは、それが物理設定だという事だった。宣言通り、向こうは確実に殺す気でいる。それは明白だった。瞬時に意識を切り替える。相手が何者で、この魔法は何なのか。それは逮捕してから聞けばいい。
(いや、そんな事を気にしていたら殺される!)
 深淵のような魔力を従えるその魔導師は、明らかな手練だ。おそらく、今まで対峙してきたどんな魔導師よりも。さすがに非殺設定を解除する気などないが、加減するのは――いや、素直に認めよう。加減できるのはそれだけだ。
「スティンガースナイプ!」
 回転する刃を避けながら魔法を放つ。誘導性なら、こちらの方が上らしい。つまり、お互いに動きまわっている状況ではこちらが有利だった。だが、そんな事は向こうも承知の上のようだ。僅かに間合いが広がった瞬間、その魔導師は右腕を突き出した。
「鉄針の魔弾よ」
 掌に魔力が収束し――何かが放たれた。だが、狙いが甘い。僅かな動きで回避する。その瞬間に見えたのは、鋭利な突起がいくつも突き刺さった鉄球。思わず、背筋が凍った。
 おそらく、だが。それと同じような質量兵器を知っている。
「ラウンドシールド!」
 シールドが展開すると同時に、その鉄球が破裂した。当然のように、凶悪な鉄針が周囲にばら撒かれる。それは、質量兵器――殺傷性の高い爆発物と理屈は同じだった。つまり、本当に脅威となるのは、爆発そのものではなく、無数にばら撒かれた鉄針だ。それをまともに浴びたシールドが悲鳴を上げ、霧散する。それでも、攻撃は耐えきったが――
「死ね」
 冷酷な宣言。それと同時に迫るのは異形の双剣。それもまた、質量を持っていた。魔法での防御は間に合わないのは明白だ。デバイスでぎりぎり受け止める。だが、近接戦ではどうにも分が悪い。自在に繰り出される左右の斬撃に追いやられるのを感じた。
(クソッ……。ベルカ式か?)
 かつて僕らミッド式と二分していた、もう一つの魔法体系。それを思い浮かべるが――違うだろう。単なる皮膚感覚に過ぎないが、これは僕らの知る魔法ではない。
「ガ……ッ」
 余計な事を考えるべきではなかった。強烈な蹴りを鳩尾に喰らう。それ自体に魔力が宿っていたらしい。バリアジャケットを軽々と撃ち抜いて衝撃が伝わってくる。
 だが、お陰で距離が開けた。この隙に体勢整える――などという余裕を与えてくれるような相手ではないらしい。それでも、どうにか重心をコントロールする。迫りくる致命的な一撃を、もう一瞬だけ先送りにするために。
「巨人よ」
 右腕が魔力を帯びて膨れ上がる。比喩でも何でもない。明らかに異形と化していた。その拳が振るわれる。鼻先を掠めたそれは地面にひびを入れた。まともに喰らっていたら、
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