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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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?!」
「それはこちらのセリフだ。人の縄張りで何をしている?」
 なのはとフェイトとアルフ……ついでに、というより結果的にユーノを庇いながら、その魔導師と対峙する。年の頃なら、今の自分――この身体と同じかあるいはいくらか上といったところか。黒づくめというのも同じだ。魔力量はそこまで突出していないが――明らかに訓練を受けている。その立ち振る舞いは、漠然とだがアヴァロンからの刺客を思わせた。おそらく……いや、間違いなくこの魔導師は『専門家』だ。油断はできない。
「縄張り……。何を言っている? そもそも、ここは管理外世界だぞ」
「だから何だ?」
 一体何を管理しているのやら。ともあれ、その返しは想定していなかったのか、魔導師は僅かに言葉に詰まる。
「お前も魔導師なら、管理外世界への立ち入りと魔法の行使には許可がいる事くらい知っているだろう」
「さて。生憎と魔導師じゃあないんでな。それに生まれてこの方ずっとこの世界で生きてるんだ。今さら誰に許可を取る必要がある?」
「ふざけるな。お前からは魔力を感じる。それに魔法を使っているだろうが」
「それは当然だろう。俺は魔法使いなんでね」
「……まぁいい。武装を解除しろ。ロストロギアの違法回収及び時空管理局局員に対する攻撃行為で逮捕する」
 取りあえずそれは聞き流しながら、背後のアルフ――でも誰でもいいのだが、事情を知っていそうな連中に問いかける。
「誰でもいい。簡潔に答えてくれ。この魔導師――いや、時空管理局とは何だ?」
「ええと、管理局ってのは、要するに治安維持の組織で……ああもう! 簡単に言えば正義の味方だよ!」
 答えたのは、アルフだった。満点の回答だ。殺戮衝動に……右腕の『記憶』に侵蝕された意識の中で、思わずにやりとする。魔法使いの正義とは必要悪だ。
「なるほど、『正義の味方』か。それなら、遠慮はいらないな」
 この男は同業者――つまりは、正義のための人殺しだ。ならば、何の遠慮もいらない。
 実に好都合だった。誰に由来するものか知らないが、殺戮衝動を抑えるのも限界だ。衝動のままに魔力を練り上げ、歓喜と共に鉄風車を放つ。
「クソッ! 何のつもりだ?」
 その魔法使いは、当然のようにそれを防ぐ。そうでなくては面白くない。
「何のつもり? 決っているだろう」
 ようやく。ようやく衝動を吐き出せる。その愉悦と共に答えた。
「人殺しが二人顔を突き合わせ、しかも意見が対立している。それなら、やることなんてもう一つしかない。そうだろう?」
 殺意に黒々と燃え上がる右腕を突きつけ、告げる。
「消えろ侵入者。素直に消えるなら良し。そうでないなら、障害は実力で排除する」




「障害は実力で排除する」
 そう宣言したその魔導師は、次の瞬間には全く躊躇い無く魔法を放ってきた。
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