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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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ジェフリー・リブロムのそれとなっていた。錯覚か、それとも本当に変化したのか。今の自分には分からないし、興味もなかった。分かっているのはただ一つ。フェイトの母親が原因なのは、もはや疑い無いという事だ。渇きにも似た衝動の中で、静かに告げた。
(そう騒ぐな。必ず――)
 フェイトの背中越しに、あの写真――フェイトの母親と、フェイトによく似た少女が写るその写真を睨み、宣言する。自らが掲げる覚悟に誓って必ずこの子は救い出す。自分が自分でいられる時間は、もはや残りわずか。それまでに、何としても。
 いずれは世界を滅ぼすであろう不死の化物にも、それくらいの矜持はあった。
 ……――
 フェイトは、治療が終わる頃には眠っていた。元々体力的に限界だったのだろう。安らかな眠りとは行かないだろうが――それでも、魘されている様子はなかった。
「何があった?」
 フェイトをベッドに寝かせてから、アルフに問いかける。彼女は答えなかった。答えられない――言葉にならないというべきだろう。あまりに強すぎる感情は、言葉にする事さえできなくなる。
「やったのは母親だな?」
 血が滴るまで唇を噛締めたアルフに問いかける。彼女が頷くのを見やり、ため息をついた。まったく、どうかしている。
「フェイトと母親の間に、一体何があった? ゆっくりでいいから話してくれないか」
「分かんないよ。アタシには全然分からない。何で、何でフェイトがこんな目に会わなきゃならないだよ。フェイトはあんなにも一生懸命にやっているのに何で……」
 零れ出たのは、悲痛な嘆きだった。それはそうだろう。傷を癒す前に、確認していた。何があったかも、予想できていた。無数に重なり合った裂傷は、見覚えがない訳ではない。その記憶が確かなら、フェイトの姿はまさに拷問か鞭打ちの刑を受けたばかりの罪人そのものだった。母親の折檻にしては、度が過ぎている。
(あそこまで痛めつけるには、よほどの憎しみがいる)
 その囁きは、自分というより右腕の彼女が発したように思えた。経験から来た囁きだというなら、なるほど信憑性は高い。しかし、一体何が原因なのか。
(何故、フェイトの母親はこれほどに娘を憎む?)
 聞いた限りでは、フェイトの出生は祝福されたものだったはずだ。その後の夫婦の行き違いは――別に彼女に責がある訳ではあるまい。実際に、それから先も親子の仲は良好だったと聞いている。それが、ある日突然一転した。それは、一体何が原因だ?――何が原因で、フェイトの母親はフェイトをここまで憎悪するようになった?
「分かんないよ、そんなこと。アタシが教えて欲しいくらいなんだ」
 アルフに訊いても、原因は分からなかった。フェイト本人に訊いたとしても、答えが返ってくるとは思えない。となれば、残された鍵はフェイトの母親がしている研究しかない。フェイ
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