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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇5
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ておきなさい。このお礼は必ずするわよ」
 挑むような目でそんな事を言われると、意趣返しの宣告にしか聞こえないが――まぁいいだろう。にやりと笑ってから、期待していると返す。
「ええ。期待していなさい。お義姉さんを甘く見ない事ね」
 その時、当主が――義姉が浮かべた不敵な笑みは今でも覚えている。




 身体の損傷――というより、魔力の消耗は自覚しているより遥かに深刻だったらしい。所詮、かつての自分にはまだ遠く及ばないという事だろう。知らぬ間に深く眠っていたようだ。気付けば夜明けが近い。闇が薄らいでいくのを感じた。だが、覚醒を促したのはそんなものではない。
 足音を忍ばせ、どこからか帰ってきたフェイトとアルフに問いかける。
「何があった?」 
 しまった。フェイトの表情に言葉を当てはめるなら、そんなところだろう。どうやら、よほど知られたくなかったようだ。だが、まさか見て見ぬ振りなどできまい。……血の匂いをさせている以上は。
「ジュエルシードが原因じゃあないだろ。誰にやられた?」
 ユーノだろうか。真っ先に思いついたのはそれだった――が、違いだろう。あの魔導師にこれほどの度胸があるとは思えない。……自分の足で立つのがやっとというまで、フェイトを痛めつける事ができるような度胸が。
「フェイト……」
 問いかけると、フェイトは拒絶するように首を左右に振った。最初に出会った時以来だろう。彼女が、これほど明確な拒絶を示すのは。問い詰めるのは諦めるべきか。まぁ、元々無理に本人に訊く必要などない。そもそも今はそれどころではない。
「フェイト、おいで」
 諭すように――初めてなのはに声をかけた時のように、自分が用意できる精いっぱいの優しい声で呼びかける。だが、フェイトはむしろ怯えたように身体を強張らせた。
 右腕が疼く――いや、痛んだ。今、この瞬間に身体を支配する衝動は憎悪ではないように思えた。それが何なのかは分からないが……だが、不思議と恐れは感じない。今この瞬間に感じた、この『衝動』に飲まれたとして、自分が魔物に成り下がる事は絶対にあり得ない。何故だか、そんな気がした。
「ちゃんと手当てしないと。ほら、そういったのはお前だろう?」
 近づいてこないなら、こちらから近付けばいい。立ち上がり、静かに歩み寄る。フェイトは逃げなかった。その小さな身体をそっと抱き締める。
「大丈夫だ。もう、大丈夫だから」
 静かに魔力を練り、そっと癒しの魔法を行使した。柔らかな光が、薄まりつつある闇を満たす。その中に、フェイトの嗚咽が混ざった。聞く者の胸が痛くなる。そんな嗚咽。必死にかみ殺されたそれは、むしろ絞り出すようにも聞こえた。
(分っている。分かっているから)
 その嗚咽に応じる様に右腕が疼く。今まで以上に黒々と殺意が燃え上がる。再び右腕は
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