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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
32.怒りの神意
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「──ごめんね、お待たせ。行こ、雪菜ちゃん、夏音(カノ)ちゃん。じゃあね、古城君、彩斗君。行ってきます!」

 息を切らせて戻ってきた凪沙が、雪菜と夏音の手を引いて歩き出す。
 彼女たちにおざなりに手を振って、彩斗と古城はマンションの中へと引き返した。
 古城はそのままエレベーターに乗りこみ、彩斗はロビーで壁に背を預けてもう一人を待つのだった。
 数分後、エレベーターからいつもの黒いギターケースを背負った少女が現れた。
 見慣れない冬服の上に大きめのコートを着こんでいる友妃は、いつもより無邪気に見える。

「ごめんね、彩斗君。ボクを待っててもらっちゃって」

 少し申し訳なさそうにうつむく友妃。

「いや、別にいいよ。天塚のことは気にせずに逢崎も楽しんで来いよな」

「うん。でも、ボクがいない間に変な事件に巻き込まれないでよ。女の子の血も吸わないでよね」

「わかってるっつうの。てか、それ言われるの二回目だぞ」

 それほど俺が信用ならないってことか、と彩斗は苦笑いを浮かべる。

「それじゃあ、行ってくるね。彩斗君」

「ああ、行ってらっしゃい」

 彼女に手を振って、彩斗はあくびをしながらエレベーターに乗りこむのだった。目的の七階の七〇三号室に入ったあたりで彩斗の全身は硬直する。
 雷鳴に似た巨大な爆発が響き、絃神島の人工の大地を震わす。彩斗は急ぎ足で玄関からベランダへと身を乗り出す。
 視界の片隅に映る海沿いの地区に、かすかな黒煙が立ち上る。
 爆心地はおそらく人工島東地区(アイランド・イースト)の港湾地区──
 空港や埠頭が連なる絃神島の玄関口。
 そして夏音たちが向かったフェリー乗り場がある場所だ。
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