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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
錬金術師の帰還篇
32.怒りの神意
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議なくらいにカッターシャツが真っ赤に染まっている。
「はぁー……にしてもあれはなんだったんだ」
あのときの彩斗は自分でもおかしいと思った。いくら暴走していたとはいえあの魔力量は異常すぎた。
まるで自分の魔力ではなく他の膨大な魔力の塊が彩斗の身体を通じて流れ出てきていたようだ。そのため彩斗の魔力は全くというほど減っていない。
それに彩斗は天候を操る能力も持つ眷獣を使役しているという記憶がない。さらに付け加えるなら彩斗はあそこで戦った天塚に違和感を感じている。
だが、その違和感を言葉にしたところで雪菜が安心して宿泊研修に向かうことが出来なくなるだけだ。それにあそこで戦った天塚が倒れてなかったとしても彩斗のやることは変わらない。
「なにがあってももう誰も失わせない」
翌朝、午前五時──
宿泊研修に出かける夏音と凪沙、雪菜を見送るために、彩斗と古城はマンションのロビーに出ていた。
昨日は考え事をしていたせいでほとんど眠れていないのだ。考えても仕方が無いとわかっていても考えてしまうのが人間なのだろう。
こんなことなら師家様に訊いておけばよかったと思うのだった。
さらにいつものことながら古城も眠たそうだ。
昨日は古城も色々とあったようだな。
常夏の絃神島ではめずらしい冬服の凪沙が、赤い目をこする古城にまくし立てる。
「わかってる、古城君? 出かけるときは火の始末と戸締りを気をつけてね。宿題は帰ったらすぐに済ませるように。あと冷蔵庫の中にこんやのおかずが入ってるからね。お風呂と歯磨きも忘れないで。遅刻しないように目覚ましちゃんとかけて──」
「姫柊にもこないだ似たようなことを言われたばかりなんだが」
古城が複雑な表情を浮かべている。
そんな兄弟のやりとりを聞いて、そばにいる雪菜と夏音が微笑んでいる。
「俺のことはいいから、おまえこそ気をつけろよ。島から出るのは久しぶりなんだし」
「まあ、大丈夫でしょ。おみやげ期待して待っててね。あ、待って、わ、忘れ物!」
ポーチの中身をチェックした凪沙が、お財布っ、と絶叫しながらエレベーターホールに大慌てで戻っていく。
「忙しないやつだな」
「そうだな」
エレベーターに乗り込む凪沙を眺めて、古城は呆れて顔でため息をついた。
旅行慣れしていないせいか、凪沙の荷物はやたらと多い。
それに対して雪菜と夏音の荷物は旅行鞄ひとつだけ。それでもかなりの質量があるのか夏音が持つのを危なっかしくて見ていられない。
二人は制服の上に少し大きめのコートを着込んでいる。
「まぁ、楽しんで来いよな、夏音」
あくび混じりの声で彩斗が頭を掻く。
「はい」
天使のような笑顔で夏音は答えた
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