暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
序章 出会い
Story1 謎の少女と宝石
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りませんでした。」

マカロフが右手をシャッと上げてバンリを出迎え、それに応えてバンリも、斜め45度(ぐらい)に頭を下げた。頭は下げるが、表情は一切変わらない。

「おいバンリ、今言った事どういう意味だ?」
「この宝石と、何か関係があるんですか?」

ナツとウェンディが問うと、バンリは黙って頷いた。

「確信は持てないけど、可能性はある。」

表情を一切変えずに、バンリは淡々と言葉を紡いだ。

「俺、スズラン村に仕事行ってたんだ。そこで昨日、スズラン村で一番の大金持ちの家に泥棒が入ったらしいんだ。宝石が幾つか、盗まれたらしい。」

区切りをつけるように、バンリは一旦話すのを止めた。ナツ達の目は驚きで見開いている。ここまで話を聞けば、この先バンリの口から語られる事はただ1つ―――――。

「あの女が、宝石を盗んだ泥棒かもしれねェ・・・そう言いたいんだろ、バンリ?」

服の襟を立て直しながらナツ達の方へと歩み寄って来たイブキが言う。自分が言おうとした事と全く同じ事をイブキが言ってくれたので、バンリは頷くと、

「家主の人は、泥棒の顔は見ていないけど、宝石を取り戻そうとして近くにあった刃物を泥棒に投げつけて、泥棒の()()に傷を負わせたらしい。」

表情を一切変えずに、バンリは淡々と言葉を紡いだ後、それ以上は何も言わなかった。

「スズラン村、宝石、右腕の傷・・・こんなにも辻褄が合っちまうなんて、偶然とはとても思えねェ。それに、あの女は目深にフードを被っていたせいで、顔がよく見えなかったし、所持金もめちゃくちゃ少ねェ。こりゃァ、あの女が宝石泥棒でも全然可笑しくないと、俺は思うぜ。」

今までの話の内容を、全て1本の線に繋いだ正論を述べるイブキの言葉に反する者は誰一人としていなかった。さっきまでずっと笑みを崩さずにいたミラも、今は困惑した表情を浮かべていた。
ギルド内が静まり返ったその時、ギィィと軋んだ音を立てて医務室の扉がゆっくりと開いた。ナツ達は視線を医務室の方にやると、ドアの隙間からこちらの様子を窺っている、あの少女がいた。

「あ・・あの・・・た、助けて、くれて・・ありがとう、ございます。」

その少女の瞳は、鮮やかな翠玉(エメラルド)色をしていた。
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