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無欠の刃
アカデミー編
毒薬
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 そこで言葉を切った男は、仮面の中で目を伏せた。
 惨劇の文字が似合う、あの現状を生み出した男の姿を思い出し、そして言う。

 「ナルトを傷つけた、監視みたいにね」

・・・

「君の兄、うずまきカトナがある人物に狙われているらしい」
「は?」

 信じられない様な、信じがたいような、怒り狂っているような、そんな、言葉にすることが難しい、感情をぐちゃぐちゃに混ぜた顔で、ナルトは目の前に教師、ミズキを見つけた。
 試験はまだ、始まっていない…というか、受けていない。姉であるカトナが体調不良で帰ったとなれば、弟であるナルトが呑気に試験を受けられるはずもなく、そのまま欠席して、家に帰ろうとしていた。
 そんな中、ミズキはナルトに声をかけ、そう言い放った。
 頭の中がパニックになったような気がした。ぐるぐると、思考が混ざりだす中、ナルトは冷静な頭の部分で結論付ける。
 うずまきカトナを、自分の実の姉を守らなければ、と。

「その人物が誰かは分からないが、私の計画に参加してくれるなら、その人物のことを誘き寄せられるかもしれないんだ、ナルト君。手伝ってくれないかな?」
「…じいちゃんにいったほうが、いいんじゃ」
「確かに、火影様ならすぐにでも発見されるだろう。だが、その間に君の兄が殺されるかもしれない」

 嘘くさいと、そう思った。表情も仕種も言葉も声色も目も、全部が全部嘘くさい。真実ではないように思える。けれど…、もし、万が一、この話が本当だったならば、姉を、傷付けられてしまう。
 けれど、無鉄砲に動いて、姉を悲しませたくない。
 そう、ぐずぐずと考え込んだナルトに、苛立ったように、ミズキはナルトの両肩を掴むと、叫ぶようにして言う。

 「ナルト君、君は、兄を守りたくないのかい?!」

 その言葉が、最後の砦を崩した。

 「…分かったってば」

 これは正しい判断なのだろうか。此奴がいっていることが嘘だったとしたならば、自分はどうなるのだろうか。今は目覚めていないクラマに聞けば、分かるのだろうかとか、そんなことを考えながら、ナルトは頷いた。

 ―ねぇちゃんは、おれがまもるってば。

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