繋いだ手は一つ、繋ぎたい手も一つ
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。宦官になれるのは男であって、国を腐敗させたのはその者達だと、儒教の価値観とは別にも判断して、見下していたから。
さらには大抵、賊に堕ちるのは男。村を襲い、人を殺し、女を犯し、金品を強奪し、食糧を略奪し、害しか生まないのが男の集団となれば、平穏な治世を目指している女の智者の幾人かに偏見が生まれるのも詮無きかな。人が人である限り。
凝り固まった思考を解すには時間が掛かる。全てがそうでは無い、と言っても、中々消えないモノもある。発達した現代でさえ、様々な偏見は消えていないのだから。
「……そんなに上って危ないの?」
「下から上を目指すから大変な事になる。保身に走る家というのは身の内に芽吹く危険な芽を摘み取るか、苗まで育ったモノを売り渡す。それは普通の事。何より政略結婚は権力者の嗜み、家を大きくする為ならなんでもするのは当たり前。私も上層部の言いつけで可愛がってた部下を何人かその泥沼に突き落としてきた」
「なっ……」
「友好派閥に名家が居ればよくある事。特に相手に男が生まれた場合、血筋の次の後継者をより賢く強くする為。皇族である劉家の一人が二百人余りの後継を作ったのは歴史に新しい。そんな感じ。青田買いというカタチで、若く見込みのある女が幾人も求められる。男はほら、女と違って種をばらまけるから」
ギリ、と歯を噛みしめた。桂花はこれほど男がうざったいと感じた事は無かった。やはり男になりたいとは欠片も思わない。
何かに気付いたように、ポン、と手を叩いた夕は、桂花ににやりと笑いかける。
「青田買いというよりは畑買いだった」
茫然。桂花は彼女の言いたい事を読み取れなかった。そんな桂花の反応に、夕はしゅんと落ち込む。
「……残念。明だったら笑ってくれるのに……」
「え……? 今の笑わそうとしてたの?」
「……明なら『ひひ、それで違う苗植えられたらたらどうすんだろねー、全く別のモノに家を奪われたら本末転倒じゃん、あははー』って笑う」
明のようにころころと変わる表情も無く、棒読みで綴られるモノマネ。
数瞬の後、さすがに似て無さすぎて苦笑を零した。
「ふ、ふふっ……確かにあいつなら言いそうだけど、あんたじゃあの喋り方、全く出来てないじゃない」
「む、ならあなたがマネしてみたらいい」
「嫌よ。皮肉と挑発と嫌味しか言わないような奴のマネなんて」
「あんなに簡単にそれに乗ってしまったあなたは、無様」
「なっ! あんたねぇ、それなら私に勝てなかったあんたはもっと無様じゃないっ!」
「勝たせてあげただけ。頭では私が上だと自分でも認めたくせに。必死で言い返すあなたはより無様」
「きぃーっ! ああ言えばこう言う! あんた性格悪すぎよ!」
「性格が悪くないと軍師なんか出来ない。一応、私はあなたを有能な軍師になれ
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