繋いだ手は一つ、繋ぎたい手も一つ
[6/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
杭は打たれるっていうかー、そんな感じ♪ 袁家に骨を埋めたいなら別にいいけどー」
にやける金色の双眸は心の内を見透かしていた。また言葉を失った桂花に、夕は静かに言葉を重ねて行く。
「迷っている優秀な人を袁家で上に上げるつもりは無い。母に近付きたいからって焦らないでもいい。決断するまで私があなたの欲求を満たしてあげる。下級文官のあなたには内密で上の事案を渡す。それを煮詰めてくれたらいい。上に行くとどうしてもしがらみが出来易いから」
惹きこまれるような黒の瞳は真実のみを伝えていた。
知識欲、というモノには抗いようが無い。負けたくない、という気持ちには勝てるはずも無い。使われているという屈辱に耐えればある程度の自由と望みが手に入る。
だが、いつまでも自分より上な気でいる彼女が気に食わなかった。
「……田豊様の犬になれと?」
夕の言い分を直接的に表し、噛みつくように睨みつけた。
「犬……性格的にはそれかもしれない、けどあなたは猫にしか見えない……」
「あはっ! 間違いないやー♪ にゃんにゃんって言ってみてよー♪ あはははっ!」
夕はわざとらしく首を傾げて指を一つ顎に当て、耐えきれない、と明は腹を抱えて笑い出す。
あからさまな挑発に、桂花は震える拳をさらに握りしめた。
「にゃーにゃー。どう、明? 私も猫になったら、お母さんは楽になるかな?」
「なるにきまってんじゃんか♪ 相変わらず夕はかぁいいなー♪」
両手を上げて鳴き真似をする夕を見た明はもはや止まらず、抱きついて頭を撫でくり回し始めた。
「む、苦しい」
「ぐへへ、このまま寝台でお姉さんといいことしようぜー♪」
「ふしだらは禁止。したいなら顔良と文醜の部屋にでも行けばいい」
「えー、あいつらは……い、や! あたし、夕とじゃなきゃ気持ちよくなれないもーん」
「……なら私の絶技をおみまいしよう。女神の手という技があるらしい」
「いやん♪ 夕ったら、やっらしー♪」
「自分から誘っておいてそれは無い」
もはや桂花がいようとも気にせずにきゃいきゃいといちゃつき始める二人。
目の前で繰り広げられる光景にどうしようも無くなった桂花は、
「い、い……」
ギリギリと歯軋りと声を漏らしてもう既に爆発寸前。否、もはや限界だった。
「いい加減にしてよ! 私はあんたの犬になんか成り下がらない! 親の七光りで上り詰めたくせに! 見てなさいよ! せいぜい袁家の上に居座ってふんぞり返ってたらいいわ!」
我慢出来ずに大声で言い放った桂花は、身を翻してその部屋から出ようと歩みを進める。
――こんなとこ自分から願い下げよ!
明日にでも出て行ってやろうと決めた彼女が扉に手を掛けた所で……首筋にヒヤリと冷たいモ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ