第二章
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第二章
「それだったら」
「うん。それだったら」
「心が欲しいわ」
こう言うのだった。
「心が」
「心!?」
「ええ、そうよ」
静かに悠樹に告げた。
「心が欲しいの」
「心って」
真夜の言葉を聞いて首を傾げる悠樹だった。
「何なの、それって」
「悠樹君の心よ」
「僕の心って」
こう言われてもまだわからなかったのだった。
「何なの、本当に」
「わかってくれたら送って」
真夜はまた彼に言ってきた。
「お誕生日にね」
「心ね」
首を捻りながら呟いた。
「僕の心って」
「それだけでいいから」
また真夜は言ってきた。
「私はね」
「わからないけれどわかったよ」
要領を得ない悠樹の返答だった。
「それじゃあ。心よね」
「ええ」
また悠樹の言葉に応えるのだった。
「わかってくれたらね。誕生日にね」
「さっきも言ったけれどわからないけれどわかったよ」
またこの言葉を出したのだった。
「それじゃあね」
「ええ、楽しみにしてるわ」
微笑んで悠樹に告げたのだった。とりあえずこの話はこれで終わった。しかしそれはこの話が終わっただけで本格的なはじまりに過ぎなかった。例えて言うのならばオペラの序曲が終わったところだった。話を終えた悠樹は真夜と別れた後であれこれと悩むのだった。
とりあえず家に帰った。家に帰ると大学に通う為に同居している従姉の奈々がいた。彼女はリビングでゲームをしながらビールを飲んでいた。
「おかえり」
「あっ、おかえり」
ビールを飲みながら悠樹に応えて挨拶してきた。ジーンズにシャツのラフな格好である。如何にも部屋の中でくつろいでいるという感じであった。
「どうしたの?浮かない顔して」
「ちょっとね」
こう従姉に言葉を返した。
「考えることがあってね」
「考えることね」
「奈々姉ちゃんも彼氏いるよね」
「いるよ」
ゲームをしながら率直に述べてきた。
「当たり前じゃない」
「当たり前なの?」
「美人には常に彼氏がいるものよ」
ラテン系のようにメリハリのはっきりした顔で答えてきた。唇は真っ赤で黒い髪をかなり長く伸ばし後ろで束ねている。その顔で答えてきたのだ。
「それも性格美人にはね」
「姉ちゃんって美人だったんだ」
しかし悠樹は今の言葉にはかなり懐疑的であった。
「それも性格美人だったんだね」
「そうよ」
また彼の言葉に答えてきた。
「知らなかったの?」
「今はじめて聞いたよ」
随分なやり取りだった。
「そんなこと」
「聞くまでもなく気付くものなのよ」
しかし奈々はこう従弟に返すのだった。
「言われなくてもね」
「そういうものなの?」
「そういうものよ」
また言葉を返す奈々だった。
「鋭い男じ
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