群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
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盾二の臣であり、梁州の宰相と言われる諸葛孔明から聞いた話だと前置きした上で。
盾二がすべての権限を兄である一刀殿に譲り、自分は梁州から去ったということをつらつらと書いていた。
理由は、桃香が……盾二の傀儡に成り下がっていたこと。
そして、このままではいつか盾二を支持する派閥と桃香を支持する派閥が争い、梁州が割れる可能性が高く、それを防ぐため……とのこと。
「確かに……いや、だけど……盾二に限って、そんな……」
星は、その書状の中で盾二のことを『見損なった』『甲斐性がない』と貶しながらも、すぐに『他に理由があったはず』『ご主人様に限って』などと内容としては支離滅裂だった。
だが、その文章から……星自身、いかに盾二を信頼していたかが垣間見える。
そして、これが間違いであってほしいと願う気持ちが、その文章から感じられた。
その上で盾二の兄、一刀殿のことも書いてある。
だがその内容は、はっきりいって盾二に比べて二枚も三枚も劣る印象だった。
星自身、盾二と比べて『どうしてこのような人物にご主人様は全てを託したのかわからない』とまで書いている。
「……私は眠っている姿しか見ていないからなあ」
だが、聡明な盾二が……肉親の情だけでそんなことをするだろうか?
私は、どうにも違和感を感じずにはいられない。
記憶を失う前の盾二は、どうして自らの全てをその兄に託したのだろうか。
「普通なら……自分の権益を守ろうとするのが人だろう。だが、盾二は天の御遣い……なら、同じ天の御遣いである兄と一緒に去る……ならまだわかる。何故自分だけ……?」
目覚めた兄と仲違いをした……?
だったら兄のほうを放逐すればいい。
自分の代理に据えるということは、一時的に離れてまた戻るつもりだった?
であれば、大陸を去るなどとは言わないはず。
「……わからない。一体、盾二は何を考えて……?」
と、ふと思い至る。
もし、盾二自身が桃香を見限ったとしたら……?
「いやいやいや……」
あの盾二が、桃香を……そして愛紗や鈴々を見限る?
だが、そう考えれば辻褄は合う。
しかし……それなら自分の兄や臣を残したのは何故か?
もし、桃香と仲違いをしたとして、その過失が盾二にあったとする。
それを悔いた盾二が梁州を去り、その全てを兄に引き継がせたのだとしたなら……
「ありえない……ことじゃ、ない?」
かなり穿った物の見方になるけど、そう考えたなら。
一応の辻褄は合う……あってしまう。
「とすると、今の盾二を桃香たちに会わせるのは……」
盾二が記憶を失っている以上、真相はわからない。
けど、今の状態の盾二を桃香に会わせるのは、あま
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