群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
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思っていたんだが。
「えっと……公孫賛さん」
「白蓮だ! 真名だってことも教えたろ?」
「だって、俺それを覚えていないんだぜ? それなのに……呼んでいいの?」
「お前が盾二であることに変わりはない。なら、真名は預けたままだ。預けた相手に真名で呼ばれないのは、屈辱なんだ」
「ああ、そう……わかった、白蓮。ともかく、色々教えてくれてありがとう」
そう言って、ぺこりと頭を下げる盾二。
ふふっ……記憶がなくなっても、盾二は盾二だな。
「いや、いいさ。ともかく今日は休んだほうがいい。ほとんど野宿だったんだろ?」
「それは助かる。重ねて礼を……」
「いいって。ともかく今日はゆっくりと休んで、明日また話そう」
私は女官を呼んで、盾二を客室に案内させる。
そして誰もいなくなった部屋で、私は椅子に持たれて息を吐いた。
「はー……さて、どうしよう」
盾二が記憶を失ったとはいえ、桃香たちは心配しているに違いない。
盾二は桃香たち劉備軍……いや、梁州に取っては最重要人物のはずだ。
なら一刻もはやく知らせてやるべきだとは思うんだが……
「なんで私は……躊躇しているんだ?」
盾二がここにいることを、桃香たちは知っているんだろうか?
そもそも盾二は何故、梁州から遠く離れた冀州にいたのか。
それも供も付けずに、たった一人で。
「……そういや変な噂があったな」
盾二が梁州から姿を消した……というもの。
となれば、盾二は極秘に動いていたと?
何のために?
「……わからないな。ともかく桃香たちに連絡を取る、か?」
そう考えた時だった。
「失礼します。伯珪様、書状がきております」
文官の一人が、頭を下げて入室してくる。
「書状……? 誰から?」
「は。一通は徐州の陶謙様、一通は南陽の袁術様、そしてもう一通は梁州、劉備様からのようです」
「おお。ちょうどいい」
桃香から、なにか知らせがあるのかもしれない。
そう思って、その書状を開くと……それは桃香からでなく、星――趙雲からだった。
「星から? 珍しいな……ふんふん……………………………………え?」
星からの書状。
その内容は……盾二が桃香を捨て、この大陸から去ったというものだった。
「…………………………嘘、だろ?」
「伯珪様?」
書状を持ってきた文官が、私の様子に首を傾げる。
その視線を払うように、私は文官を退室させた。
「どういう、こと、だ?」
改めて星の書いた書状を読む。
前半は淡々と書いているが、後半になるほど殴り書きに近いほど文字が乱れている。
相当に怒っている様子が目に浮かぶようだ。
星は、その内容を
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