群雄割拠の章
第2話 「だから対価を……払わなければならないの」
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価を……払わなければならないの」
「対価、か」
そう。あれは、虎牢関での戦闘後の議でのこと。
盾二は、袁術に脅しをかけて孫呉の独立を約束させようとした。
今にして思えば、あの時盾二を止めないほうが良かったのかもしれない。
盾二は、袁術を殺す気なんてなかったはず。
あくまで盾二は『代案』として、親交のあるわたし達を開放しろと迫るつもりだったと思う。
けど、それをわたしは止め、その場で自分の翻意を口にしてしまった。
袁術は馬鹿だから気が付かなかったようだけど……張勲は、ハッとしていた。
結局、わたしにはそのまま独立をするしか道は残されていなかった。
でなければ、それまで以上に張勲は警戒し、今後独立をしようとしても……必ず無謀な賭けになるはず。
もしくは、わたしや冥琳、蓮華やシャオの暗殺まで及ぶ危険が。
そうなる予感が、わたしにはあった。
けど……それでも迷った。
このまま独立するべきか。
でも、すでに盾二の中では決定事項だったのかもしれない。
結果的に、献帝陛下からわたし個人に恩賞として、揚州牧の地位が与えられ。
袁術は、減封の処罰により……揚州の袁術が支配していた一帯を返上して、わたしに下賜されることになった。
そして揚州はわたし達の、孫呉の手に戻ったわ。
「施された独立じゃ……やっぱり冥琳も不満でしょ?」
「いや……だが……しかし、だな……」
気位が高い貴女だもの。
こんな形で盾二の施された独立なんて……内心、ずいぶん葛藤したはず。
わたしだって、相手が盾二でなかったら……
「だからこそ、よ。対価を返さなきゃ、ね」
「そう、だな。だが、孫呉の独立の対価などと……払えるものか?」
「モノじゃ……ダメでしょうね。だから本当はね、わたしが盾二に嫁ぐのも手だと思っていたの」
「雪蓮!?」
冥琳が悲鳴のような声を上げる。
「けど、それは……やっぱりできないわよね」
「当然だ! 孫呉の王たるお前がいなくなるなど!」
「わかっているわ。だから、ね。シャオを……代わりに送ろうと思うの」
「なっ!?」
シャオ……小蓮は、わたしの妹。
末妹だけど、だからこそわたしの血族として……人質として多大な意味を持つ。
「小蓮様を人質にだと!? 正気か!?」
「正気よ。それほどでなければ……この恩は、返せない」
「だ、だが!」
「シャオは孫呉の血族。だからこそ、その責任を負うべき立場よ」
「そ、それは……」
「本来は、わたしの後を継ぐ蓮華の方が、質としては上でしょうけどね」
「ばかな! それこそ正気ではない!」
「ええ。蓮華はわたしの後を継ぐ大事な身。だからこそ……シャオなのよ」
「……………
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