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相棒は妹
志乃「楽しい?」
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 「葉山と葉山って似てないよな」「せめて『兄』か『妹』付けろよ」「なあ、葉山妹可愛くね?」「それ、だいぶ前から言ってっから。いっぺん死ぬか?」「絶対彼氏いるだろ」「いやいや、彼氏は兄貴っしょ」

 全く、こいつらは一体俺達を見て何を楽しんでるんだか。理解出来ない。ああ、志乃の方が高評価なのは言うまでも無い。俺、女子の半分ぐらいからは嫌われてるんでね。

 俺が望んでいた徹底的な平穏は消滅したけど、それなりに過ごしやすい学校生活になったのは確かだ。

*****

 火曜日。学校が終わり、俺は志乃と共に家路に着くと、日曜日に言った通り録音のやり直しを行った。俺のパソコンを使うしかないので、編集ソフトをまたダウンロードする。そして、この前と同じ順序で作業を行っていく。

 その間、志乃はヘッドフォンを付けて数十分ぐらい練習していた。まさに前回と同じ絵が出来上がっていた。

 そして、志乃の合図で録音ボタンを押す。約三分の曲の伴奏を、確実に弾き通す。いや、俺からしてみれば確実なのだが、本人次第で何度でも録音するので、最初で合格は無いだろう。

 そう思っていると、曲を弾き終えて録音が終了した際、志乃は少し満足そうにニヤッと笑い、静かに呟いた。

 「いっぱい練習した甲斐があった。これで、十分」

 「え、マジで?」

 「兄貴には変に聞こえた?」

 「いや、そういう意味じゃなくて。この間めっちゃやり直ししたから、てっきり今日もそうなのかと」

 「私を舐めてもらっちゃ困るね。悔しくて練習したんだから」

 さすが負けず嫌い。まぁ、これは最近になって気付いたところなんだけどね。数年間ろくに話さなかった弊害だな。

 というわけで、志乃のピアノはクリア。志乃が「エロ動画見過ぎるから」とボソッと呟いたのを黙殺し、旧式のパソコンで何とか編集を加える。エロ動画はともかく、本当に古いパソコンだからこういう事をするのにも、かなりの時間を消耗する。志乃のパソコンが愛おしくなるぐらいだ。そもそも、俺のパソコンがソフトに対応するのか怪しかったぐらいだ。

 だが、それでもまだ序盤だ。ここで安心するのは早いだろう。俺と志乃は前回と同じくバッグを持ってカラオケ店に向かった。

 店員は見慣れた眼鏡だった。顔見知りという事で、受付で軽い挨拶もそこそこに、決められた部屋に行く。ライトを付け、テーブルに機材をセットしていく。

 その時、志乃が突然話しかけてきた。

 「兄貴」

 「ん?」

 「楽しい?」

 その単発すぎる言葉に、思わず本人の方を向くと、志乃は俺とは目を合わせず、もう一度質問してくる。

 「これ、楽しい?」

 志乃が何を思って俺に聞いているのかは分からない。だが、そ
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