志乃「楽しい?」
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風呂にそう語りかけ、満足したところで風呂から上がり、飯を食った。ここにも志乃との会話は無かった。まるで昨日の事が嘘のようだが、これが俺達の関係だ。一日だけ異常な密接があったとしても、兄妹だからこそ変化など多くない。つか、この先の変化って、もうアウトだろ。
そして、そろそろ部屋に戻ろうかというところで、志乃に録音の日を相談した。
「志乃、今度の録音の事だけど」
「明後日で」
「お、おう」
決めてあったらしい。ものすごいキメ顔でそう言った志乃に、俺は思わず返答を鈍らせてしまった。
*****
次の日。俺達は普段と変わりげない日常を過ごす。いや、語彙に間違いがあるな。ようやく手にした『平穏』の日常を過ごす。
志乃を始め、五十嵐や志乃の友達、初期から仲良くしている男子数人、そして俺を神扱いしてくるほとんどの男子生徒。とはいえ、今やその様子は大人しくなり、男子は気兼ねなく俺に話しかけてくる。その方が俺としてはとてもありがたかった。
本山はあれからアクションを起こさず、一つの女子グループの中で楽しそうにお喋りしている。何か企んで無いと良いけど。
その他にも女子はグループが存在しているようだが、男子同様に、皆が仲良いらしい。ただ、『いつメン』ががっちり固定されているだけなのだ。
俺と志乃のおかげである程度纏まり(?)、最終的に歪な形で収束したクラス。その姿は、他のクラスとは違い、どこか全体的に和気藹藹としていた。
「兄貴、なんで顔がニヤけてるの?キモくて吐きそうなんだけど」
お前、俺の後ろの席で見えねえだろうが。
「私は、兄貴の身体を透視する事が出来るの。だから兄貴の表情も読み取れる」
「変人まっしぐらだぞ、それ」
俺はついついツッコみを入れてしまう。身体が勝手に反応してしまうのだ。これには逆らえない。ツッコむと、なんかスッキリするのだ。これって病気なのかな。
「つか、人の顔で吐きそうとか言うな」
「私が嘘吐いてるとでも言いたいの?心外ね」
「そこは嘘だと言えよ!心外なのはこっちだ!」
「……めんど」
「あのな、この話題振ったのはどこのどいつだ?」
そんな俺と志乃のやり取りは、基本誰かに見られている。というか、それはほぼ特定されている。そして、耳の良い俺にはある程度聞こえてくる。
例えば、ロッカー付近にいる女子グループから。
「あ、今日も葉山兄妹がやってるよ」「ホント仲良いよねぇ」「いつもいつも飽きないよね、こっちは見てて面白いけど」「でも、葉山さんって絶対お兄ちゃん娘だよね」「分かる!ツンツンしてて可愛い!」
例えば、教卓付近にいる、否応にも声が聞こえてくる男子グループから
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