志乃「兄貴、ごめん」
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
っていた方向をずっと見ていた。
「……兄貴」
その沈黙を取っ払ったのは、志乃だった。少し汚くなった体操服をパッパと払い、俺に呼び掛けてきた。
「大丈夫だったか?ごめんな、役に立てなくて」
俺は志乃に歩くよう促したのだが、志乃はそこから動かず、顔を俯けている。どうしたんだよ。もしかしてさっきの事気になってんのか?
そう思って聞いたのだが、どうやらそういうわけでは無いらしい。志乃は、少し黙った後、いつも以上に小さな声でこう言った。
「兄貴、ごめん」
それは、俺にとって何を示す謝罪なのか全く理解出来なかった。
時間を無駄にした事か?多利間の嘲りに巻き込まれた事?それとも、今後一緒に作品を製作するのは辞めて、ピアノに専念するっていう事か?
しかし、志乃の次に発した言葉は、俺の数個の予想のどれにも引っ掛かっていなかった。
「転ばされた時……バッグの中が地面に直撃した」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ