強いられた変化
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いという事は、自分で考えろという事だ。
諦めて、真桜は肩を落とした。ただ、生来楽観的な彼女はまあゆっくり考えたらいいかと思考を切り替える。大嫌いな戦までは、秋斗と共に絡繰りをいじれるのをとりあえず楽しもうか、と。
「明日からあなた達は共に過ごす事になるけれど、工房には出入り出来ないから……もう少しいろいろと話しておきなさい。じゃあ、任せたわよ、二人共。何か補足があったら書簡にして執務室の机に置いておくこと。明日の朝に返答の書簡を書いて渡すから」
「御意」
「ん、任してくれ。官渡で待ってる」
二人の返答を聞き、すっと立ち上がった華琳は、振り返る事もせずに工房を出て行った。
薄暗い工房に居たからか、目が光に慣れず眩しくて細められる。日輪は傾き、橙色に輝いていた。
――嘗て劉備の真逆に成長したように、私と同じ高みに上る為に成長していく。黒麒麟と同異な今の徐晃は……私の為の黒き大徳。こと戦に関しては私の思考と狙いを軽く読んでくる。本当に……乱世の為に生きているような、大バカ者だ。
これから戦が始まるから、彼との……“断じて、面白いなんて事は無い”やり取りはしばらく無くなる。
彼女は少し、それが寂しく感じた。
†
華琳が去って幾分か後、二人はお茶を飲みながらいろいろと話をしていた。
殊更、武器と兵器の事を中心に。新兵器の開発はまだ出来ないが、真桜が途中で諦めた兵器が秋斗の知識によって使えるようになるかを判断したり、曹操軍全員の武器がどんなモノかを聞いたりと、多種多様な話であった。
ちなみに、秋斗の武器は真桜にも分からない素材で出来ているようで、欠けない、錆びない、曲がらない……本当にわけが分からない長剣であった。
そんな中、秋斗は一つの武器が工房の端に埋もれているのを見つけて、ひょいと手に取った。
「なぁ真桜、これって……」
「ん? あー、誰も使わん武器やけど、ウチが衝動的に作ってみた奴やな。色んな武器作ってみた方が想像力も湧くし。春蘭様の前の大剣と強度的には変わらへんから戦でも使えるで」
訝しげに秋斗の剣をじっくりと眺めて秘密を暴こうとしていた彼女は、秋斗の手に取った武器を懐かしいモノを見るような瞳で見た。
秋斗が持った武器は……戦斧。徐晃、といえばまず想像されるはずの武器であった。
――なんで俺は、徐晃なのに剣なんだろうな。
考えても分かるわけが無い。彼を落とした腹黒幼女しか答えを知らないのだから。
ただ、何処か懐かしいように感じて、秋斗は不思議そうに首を捻った。
「兄やんは斧も使えるん?」
「いや……使えない」
「そうなんや。ウチも見た事ある斧使いなんか華雄と関靖くらいしか知らんし、使い手おらへん武器ってのも可哀相やから武器庫に
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