強いられた変化
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と正直に言った。
漸く、華琳は愛鎌である絶を彼の頸から引く。本当に頸を飛ばしてやる気は無かったが、自分の唯一のコンプレックスを抉られた怒りを率直に表現するには、いきなり張り倒すわけにもいかない為に、不作法を取ろうと思ってしまった。
華琳は胸と身長に関してはかなり怒る。これが政治の場であれば笑い飛ばす所ではある。されども、身内だけの場では怒りをカタチと表す事もあるのだ。春蘭が無自覚でポロリと零した一言に怒る時が多々あったりするように。
ほっと一息も着かず、ギギギ、と音が鳴りそうな動きで首を回して、秋斗は華琳の方を向いた。
「よう、曹操殿。ご機嫌麗しゅう。今日もツインドリルが絶好調だな。二つの螺旋は生命に受け継がれる進化の証だから、曹操殿には似合ってるよ」
出来る限り誤魔化そうと、引き攣った笑いと軽い言葉を言った秋斗は……にっこりと華琳に微笑まれてそのまま硬直してしまった。
「ごきげんよう、徐晃。街の女子のように色恋の話題に華を咲かせるのも仕事の内、なんて言わないわよね?」
無視。
華琳の興味を引くはずの現代知識を出したのにコレである。拾って貰えない軽口ほど、哀しいモノがあろうか。
「どこから聞いてたんだよ……」
「さあ、何処かしら? 当ててみればいいじゃない。当てられたらさっきの発言は聞かなかった事にしてあげてもいい……かもしれない」
「……マジか、じゃあ――――」
とぼける華琳は目を細めて冷たく笑った。秋斗は一寸悩んだ挙句にその誘いに乗って、話を進めて行く。
そんな二人の様子を見て、真桜は驚愕に支配されていた。
――嘘やろ……あの男嫌いな華琳様が……兄やんと楽しそうに話しとる。
真桜にはそう見えていた。楽しそうなどと、秋斗が見ればそうは見えない。しかし華琳の事を黄巾から見てきた真桜が見れば、それは大事件にも匹敵する光景であった。
実力を認めているのは知っていても、このような他愛ない掛け合いはしないと思っていた。刃を向けるのも、相手がそれをしても許すモノだと知っているからこそ出来る。
――兄やん、あんた……無自覚の人誑しやな?
そういえば真桜自身も、知識への興味が多大にあったと言っても、居心地の良さを感じていた事を思い出して、そう思った。
ゆるゆると周りに巻き込まれながら入り込んで行く彼のような人物は、今までの曹操軍には居なかった。
霞が近い。けれども違う。霞は巻き込むタイプである。
華琳に対してそこまで出来る様子を見れば、なるほど大徳だ、と思った。ツンケンしている詠が惚れるのも不思議では無いとも。
「――――って時くらいだろ?」
「ハズレ」
「んじゃあアレだ。恋は戦争、くらいか?」
「それもハズレ」
「……答えは?」
「教えない」
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