強いられた変化
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像しようとしても……華琳と真桜では身体の一部分が極端に違いすぎた為に、胸が極端に大きい華琳を想像して、圧倒的な違和感から秋斗は盛大に噴き出した。
「くはっ、あははっ! 曹操殿の言い方マネしてもお前さんじゃダメだ!」
「えー、なんでなんで? 結構似てたと思たんやけど……自信無くすわぁ」
「いや……クク……だって、だってさぁ……あははははっ!」
確かに言い方や仕草はそれっぽかったのだが、秋斗にはどうしても胸の大きな華琳が頭に浮かんでしまう。変なツボに入ってしまったようだ。
また想像して、身体をくの字に曲げて笑い続ける秋斗の前で……彼の大きな身体に隠れて見えなかった扉が目に入った真桜は顔を蒼褪めさせた。
キィ……と半開きになっていた扉である。ゆっくり、ゆっくりと開いて行った。
其処に居た人物は、一つ指を口に当てて、冷たい瞳で微笑んでいた。
背後が扉である為に、そして笑いに夢中である為に、秋斗は全く気付いていない。
「はーっ……笑った。何でかって? それはな……」
笑いすぎて痛む腹を抑えているから、秋斗は真桜の蒼褪めた顔を見ていなかった。
彼はそのまま、無邪気に本心を綴り始め……彼女の逆鱗に触れる。
「胸をお前さんの胸で想像しちまったからだよ。さすがに曹操殿に大きな胸は違和感があり過――――」
「わ――――――っ!」
絶叫。
真桜は思わず声を張り上げた。黙っていろ、と示されていたにも関わらず。
後に、ツカツカと近付いてくる華琳に戦場で放つような殺気を向けられて腰が引けてしまい、椅子から落ちて声も途切れる。
反射的に耳を抑えていた秋斗はまた俯いてしまったが故に、真桜の様子は見えなかった。
ひやりと、首筋に冷たい金属を添えられて……耳から手を放した時にはもう遅い。
「……私に、何があったら、違和感がある、ですって?」
凛、と鈴の音のように綺麗な声音も、威圧と殺気に彩られれば刃の如く。冷や水を被せられたかのように、どっ、と冷や汗が湧き出るのも詮無きかな。
「ち、小さな胸にも、いい所はたくさんあるんだぜ?」
普段の飄々とした様子は何処へやら、頸に鎌を突き付けられたまま、秋斗は振り向かずに上ずった声を紡いだ。それが余計に、華琳の怒りの炎に油をぶち込むとは知らずに。
「ふふ、詠に違和感はあるのかしら? あの子は身長の割に胸が大きいけれど」
秋斗の苦しい慰めの言葉は無視して放たれた突き刺さるような鋭い声。秋斗には寒気を覚えさせるような冷たいモノ。
真桜は工房の隅でぶるぶると震えていた。自分が真似をした事も、ばっちりと聞かれていたと分かっているから。
「い、いんや? 無い、なぁ」
違和感がある、などと言えるはずも無く、秋斗は焦りからもズバリ
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