強いられた変化
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ため息を一つ、じっくりと宙に零してから、秋斗の黒瞳を見据えた。
「……あかんで兄やん。恋っちゅうのは戦争や。恋する女の子の本気は……怖いで? もし、そんな子が居ったとしたら、きっとウチには止められへん」
にやりと笑う。瞳は肉食獣の如き輝き。自分はまだしたことの無いソレへの憧れを込めて、秋斗に言い放った。
――ウチやったら嫌やもん。好きな人とは一緒になりたい。傍に居たい。例えちょっとの時間やろうと、好きな人と楽しいこと共有したい。全力でぶち当たらな気がすまへんやんか。そういうもんちゃうの? 恋って。鳳統ちゃんやって、きっと一緒にいた方がええやんか。その為に皆やって……いろいろ気に掛けとるんや。
発展先をまだ知らない、少女の憧れである。
真桜の言葉を聞いて、恋とはエゴとエゴの押し付け合いであると、秋斗は思う。ならばきっと、自分を想ってくれる彼女の想いは愛なのだろうな、と感じた。
きっと“彼女達二人”も、彼女と自分の為を望んでくれているのだろう。それもまた、別種の愛であるのだと理解を深めた。
三人の少女の暖かさが、彼の心に温もりを落とし、悲哀を沸き立たせる。
押し込むのにはもう慣れていた。そうして切り替えて、今度は彼がため息を返す番。
「はぁ……恋は戦争、ねぇ。互いの気持ちが大事だと思うんだがなぁ」
「じゃあ、もしもやで? 兄やんが一人の女の子を好きでしゃあなくて、でも他の女の子が振り向いて貰おうと頑張ってて、その内にその子に対しても好きな気持ち出来てしもたらどうするん?」
真桜は昨日までずっと工房に籠っていた為に、他愛ない会話が止まらない。それが女の子にとって食いつきやすい恋の話題であるなら尚更。
一応、華琳に依頼されたモノの草案は、真桜の優秀さから既に出来てしまった為に、息抜きも必要か、と秋斗はそれに付き合う事にした。
「さてな、その時になってみなきゃ分からんよ。男ってのは俺も含めて可愛い女の子に弱いからなぁ。でもきっと……好きで仕方ない子を選ぶ、と思う。例え他の子を傷つける事になろうと、深い関係にはならずに一人を選びたい」
黒麒麟が自分と同じであるならば、彼女を幸せにしてやって欲しいと願った。例えあの二人が想いを寄せていて、前の自分が二人にも少なからず好意を持っていたとしても。
客観的な物言いは真桜の意にそぐわないようで、むすっと口を尖らせた。
「もう……絡繰りの話はおもろいのに、色恋に関してはつまらん。もっとこう、がーっと欲望持とうや! 俺に惚れたんなら皆全力で愛してやるぜ、くらい言うてーな! 華琳様なんかすごいで? 前なんか……本気を出せば一度に七人までだったら行けると思うの……なんて言うんやもん」
華琳のマネをして言い放つ真桜に、そんな事を言っている華琳を想
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