強いられた変化
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組んで、温度を一定に保つ水筒「魔法瓶」を店長と一緒に開発したのが前の秋斗。彼はただ単に、何処でも暖かいお茶が飲みたかっただけなのだが、その発明が真桜を惹きつけていた。真名を出会って直ぐに交換してしまうくらいに。
彼女は絡繰りに目が無い。絡繰りが好き過ぎて、黄巾の時に義勇軍を立ち上げる前でもいろいろと自作していたくらいである。
現在彼女は華琳から与えられた役割により個別の工房を持っている。その中は用途不明のモノやら何やらがわんさか転がっていた。
兵器の開発は彼女の仕事。ああでもないこうでもないと、時間がある時に試作品を作ってはいじり倒している。
余談ではあるが、華琳が依頼した怪しいおもちゃも手掛けていたりする。
自分の世界では普通の知識とは言えず、真桜が優秀な技術者であるから、と言うのも尊敬の眼差しを向けられてはさすがに口に出来ない。よって彼はただ、彼女の気遣いに対して答えを返す。
「気にすんな。今の俺も前の俺もそんなに変わらんし、頭ん中にある知識もそう変わらん」
「……ありがと、兄やん」
「ん、それよりさ……アレって……アレだよな」
優しく諭した秋斗は休憩がてら、気分を変える為にその物体を指さす。精巧につくられたソレは男の象徴的ブツを模したモノ。女の子の前なのでアレとしか言えず口を濁した。
「お? 兄やんも好きやなぁ。くくっ、せや。アレや。華琳様に依頼されて作ったもんでな。お菊ちゃん言うねん」
「お菊ちゃんってまた意味深な……真桜はそんなもんも作ってるのか……」
「だって華琳様は兄やんと違うてついてへんねんもん。しゃあないやん?」
つかつかと歩み寄った秋斗は、さすがに手に取る事はせずにマジマジと見やった。
現代人の男として、エロ本や同人誌もある程度見てきた彼であるが、実際に実物を見てしまうと、百合っ子な覇王様だから仕方ないかぁ、と妙に複雑な気分になっていた。
にやにやと笑いを浮かべながら隣まで歩み寄った真桜。難しい顔をしている秋斗の耳にそっと口を寄せて、
「使うてみる? 具合試して見るのも一興やし、ウチにとっては本物も見れる丁度いい機会やねんけど」
なんて、悪戯っぽく口にした。
「はあ!? バカかお前! そういうのは好き合った男とだけしてろ!」
「あははっ! 冗談やんか! そんな怒らんといてーな」
即座に動揺を見せて声を上げた秋斗に対して、からからと笑い声を上げる。
からかわれた事を真に受けてしまった為に恥ずかしくて、ぐっと言葉に詰まった秋斗は誤魔化す為に舌打ちを一つ。
「なんや結構固いねんなぁ。ウチのは冗談やけど、もし、女に本気で誘われた時は断ったりしたら……あかんで?」
「……知らん。見境無くがっつく男も、腰が軽い男も嫌いだ。心に決めた女以外と
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