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無欠の刃
アカデミー編
友達
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を指さす。
 少しばかりの踏み込んだ質問、ある程度答えがわかるその問い。

 「それ、どういう仕組みっすか?」

 すっと、カトナの目が細まり、顔が僅かに強張る。頭の中では凄まじい速さで何と答えるべきかの計算が行われていたのだろうが、やがて、低い声で尋ねる。

「…どういう、って?」
「言う必要があるんすか?」

 しばらくの間、お互い沈黙し、視線が交差しあい、にらみ合ったが、ふと、カトナは肩の力を抜くと、無防備に刀を見せる。

「どう思う?」
「…意地の悪い聞き方するっすね」

 そう言いながらも、シカマルはその刀を注意深く見る。
 カトナの身の丈よりも大きい大太刀。が、それは普通の大太刀とは違う点があった。…刀身に、銘がない。
 すっ、と目を細めたシカマルは、次の瞬間、刀身から柄へと視線を移し、それを見つける。
 普通の人なら分からないだろう、些細な、小さな傷。
 けれど、シカマルの聡明な頭脳は、確かにそれを記憶していた。
 いのが戦った時に使った短刀と、今目の前にある大太刀の柄が全く同じものであるという事を。
 その証拠に、柄の色は所々に金色があしらわれており、下地は黒色をしているが、カトナの掌でちょうど隠れるような位置に、小さな傷が入っている。刀で切ったような、バッテン。柄に刻まれたそれに、シカマルは確信しながら、言葉を選んで答える。

「それ、チャクラによって形状が変わるんすか?」
「…どうして、そう、思った?」
「柄」

 シカマルはそう言いながら指で、深い黒色をした柄を指し示す。
 普通、刀は全く同じではない。同じ系統―同じ短刀ならば、柄も似るかもしれない。だが、大太刀と短刀の柄が似ることなどは、あるのだろうか…。
 同じ職人にならば、まだ微々たる可能性とはいえありそうだ。だが、柄に全く寸分たがわず、傷を―しかも同じ形につけることなどありえない。

「…柄が同じ、なのに、刀の形状は違う。全く同じ形をした柄、って可能性はあるけど、その柄、傷ついてますよね」
「…うん。傷、っていうか、多分、作った人の、サインみたいなもの?」
「ああ、なるほど。なんで、んなところに傷がついてると思ったら、刀の銘ってことか…。柄ってのは今まで聞いたこともねぇが」
「銘?」

 不思議そうに首をかしげたカトナに、シカマルは少しだけ身を乗り出して、大太刀を抜かせると、大太刀の刃の部分を指し示す。

 「刀には、普通裏表があって、それを判別するのは銘…先輩で言うところのサイン、刀工が自分が作ったっていう印で見分けるんすよ。普通なら茎なんスけど、太刀の場合は刀身に掘られてるんすよ。だから、普通は柄じゃないんすけど…」

 そこで言葉を切ると、シカマルは何もかもわかったような顔でにやりと笑う。


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