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魔法科高校の神童生
Episode29:九校戦、開幕
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、三年って結構長いから、忘れてしまうのは仕方がない。けど、もし紫道聖一と俺がその時に出会っていたのなら、その時になにかがあったのだと考えられる。

「…まったく、行く先々で問題ばっかだなぁ」

紫道聖一が俺に殺気を向ける理由。それが分かれば、対処のしようがあるけど。まあ、思い出せないものは仕方がない。ああいう一見冷静に見えるタイプの人は怒らせると意外とぽろっと本音を漏らすことが多い。そうじゃなかったら、いつも通り、九十九隼人がよくやるお話し(肉体言語)で語り合えばいいだけだ。
そのためにはまず、コンディションを整えなければならない。粗方筋肉を伸ばし終えて、立ち上がる。

「…ん? あれは……」

全開にしていた視力が、複数の人間の姿を捉えた。随分とコソコソしているなぁ、バレバレだよ。あと、その集団に近づいていく一人と、更にその後ろから近づく一人。

「…行ってみよう」

大体こういうトラブルの渦中にいる人は想像できるけど、まあ人手が多いに越したことはない。丁度やることもなくなって暇になったところだったしね。



☆★☆★



基本、隼人は世界の心眼(ユニバース・アイズ)で見たことのある人のサイオンの特徴を記憶している。そして、今見た三人の賊を追う二人のサイオン質を、隼人は知っていた。
一番賊に近いのは、落ち着いた雰囲気のあるサイオン質の幹比古。そしてそれを追うように近づいていくのは、一滴も無駄に零さずクッキリとした輪郭を持つサイオン質の、達也。
二人の友人であり、その力量を知っていた隼人は、賊の対処に参加することを辞め、観察を行うことにした。
減重・加速の魔法を使って宙へ飛び、木々の枝を飛び移って絶好の観察ポイントまでショートカットで向かう。
隼人が目的の木に辿り着いた頃には、幹比古が魔法行使の体勢に入った。彼が懐から取り出したのはCADではなく、三枚の短冊状の呪符。幹比古は、現代魔法ではなく古式魔法を使うつもりだった。

(けど…よっしーはあの時の事故のせいで、満足に魔法が使える状態じゃないはずだ)

かつては吉田家の神童と呼ばれるくらいに才能のある魔法師だったのだが、幹比古はある時の魔法事故の後遺症で魔法をスムーズに発動できなくなっている。それに加えて、現代魔法よりも発動スピードで劣る古式魔法だ。あれでは、間に合わない。

『古式魔法』は、現代魔法と『存在』に付随する『情報』に干渉し、『事象』を書き換えるという基礎構造に違いはないが、現代魔法と違い、伝統的な道具を用いて発動する。幹比古の場合はそれが呪符であるのだが、彼の魔法構造には無駄が多いことを隼人は見抜いていた。
幹比古が発動した魔法のシステムは、大まかに三つに分けられる。
1、呪符にサイオンを流し込み情報を書き足す
2、そ
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