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魔法科高校の神童生
Episode29:九校戦、開幕
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るから、自分の力に溺れることはない。彼らの魔法行使は思考と共にある。それこそが今の自分に足りないものだと隼人は自覚していた。

(まだまだ、俺は強くなれる)

みんなが疎らに拍手を送る中、隼人は拳を握り締めた。



☆★☆★



懇親会であるパーティが前々日に催された理由は、前日を休養に当てるためだ。大会を翌日に控えた今日の夜、エンジニアの生徒は準備に余念がないかチェックしているが、選手である生徒はほぼ就寝しているだろう。少なくとも、廊下で騒ぐなどという行為はなかった。
とはいえ、一年生である彼女たちの出番は四日目の新人戦から。明日はまだ観戦するだけのため、年頃の女の子たちが寝るにはまだ早い時間だった。
そのため、夕食を終えた一高一年女子である深雪、ほのか、雫、英美、スバルやその他のメンバーは、明日に備え既に消灯している先輩とは違い、英美の計らいによって地下の温泉施設にいた。
ほのかが英美に着ていた湯着を剥かれそうになったり、深雪が入ってきてアブノーマルな雰囲気になったりしたが、現在は比較的穏やかな様相を保っていた。
魔法という神秘を学んでいるとはいえ、彼女達もお年頃の少女。集まれば、会話の内容は自然に恋やそっち方面の話となった。
やれ、ドリンクバーのバーテンさんがステキだったとか、五十里先輩は包容力があるだとか、しかし婚約者持ちだとか、十文字先輩頼りになりすぎだとか、三高の一条くんが深雪のことを熱い眼差しで見つめていただとか。

「深雪、どうなの?」

なにやら勝手に一条と深雪の関係を想像しているようだが、雫が大真面目な口調で深雪に問いかけたために一同の視線は深雪へ向いた。

「……真面目に答えさせてもらうけど、一条くんのことは写真でしか見たことはないわ。会場のどこにいたのかも気がつかなかった」

溜息交じりに答えた深雪に、ワクワクしながら聞いていた少女たち(特に英美)は揃って肩を落とした。しかしやはりというか、めげないキャラは相変わらずいるのだった。

「じゃあ、深雪の好みってどんな人? やっぱり、お兄さんみたいな人が好みかい?」

スバルの質問に、ほのかの肩がピクリと動いたのに雫は気づいた。
対する深雪は、むしろ呆れた表情を浮かべていた。

「何を期待しているのか知らないけど…わたしとお兄様は実の兄妹よ? 恋愛対象として見たことなんて無いから。それに、お兄様みたいな人が他にいるとも思ってないわ」

深雪のその答えを聞いて、スバルと英美はガックリと肩を落とした。どうやらお気に召さなかったらしい。ならお返しにと、深雪は黒い笑みを浮かべた。

「それはそうと、エイミィは随分と九十九さんと仲がいいのね?」

深雪の反撃に、エイミィの顔が瞬く間に赤くなった。どうやら当たりみたいだと笑
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