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魔法科高校の神童生
Episode29:九校戦、開幕
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うより、アレは本当に高校生なのか?」

ずっと突き刺さっていた殺意と殺気の量は、もはや異常だった。なにか俺に恨みでとあるのだろうか。正直、心当たりが多すぎてまるで絞り込むことはできそうにない。

「…第三高校一年生、紫道聖一。十師族でも百家でもありませんが、彼の魔法力はクリムゾン・プリンスとほぼ同等と言われています」

「市原先輩…」

さっきまで会長の側にいた市原先輩が、背後に立っていた。

「…どうやら目をつけられたようですね。気をつけてください」

「…了解です」

言われずとも、アレに対して油断などできるはずもなかった。今まで感じたことのないような濃密な殺気、いや、似たようなものを、俺は一度体感している。
十字の道化師(クロスズ・ピエロ)の一人、緑川佐奈を助けに来た漆黒の少年。
彼の殺気もまるで気そのものが質量を持っているかのように重かった。

(…紫道聖一か。用心しておこう)

ああ、なんだか嫌な予感がするなぁ。



☆★☆★



来賓の挨拶が始まった。こういった会食のようなものに慣れていない人達はみな食事や談笑を止め、体面だけでも話を聞こうとしているが、他の人達よりも場慣れしている隼人は無音で腹に食べ物を詰め込んでいた。体調が回復するのと比例して空腹になってきたのだ。
入れ替わりに壇上に上がってくる魔法界の名士たちとは、ほとんど顔を合わせている。たまに視線を向けられて会釈をすることがあるが、ほぼ暇であった。が、隼人にも唯一顔を合わせたことのない人物が一人いた。
かつて世界最高・最巧と謳われ、現在の十師族というシステムを確立した人物『九島烈』。蒼夜叉と畏れられる隼人の父である九十九櫂と同等か、それ以上の実力を持つ偉大な人物は、毎年この九校戦にだけ顔を出すのだ。

(さて、老師とはどんな人なのか)

来賓に来た名士たちの話は右から左に聞き流している隼人だが、九島烈にだけは唯一興味があった。
自分の父よりも上と評される人物は、一体どのような人物なのか。ただ純粋に知りたかった。

順調に激励、訓示と共にテーブル上の料理が隼人によって消化されて行き、いよいよ九島老師の順番になった。
司会者がその名を告げる。場が緊張感に満たされた。流石の隼人も食事の手を止め、壇上を見上げた。

現れた人物は、老師ではなかった。
光量を下げたライトに照らされているのは、パーティドレスを纏った金髪の女性。ざわめきが広がる。
もしや、老師になにかあったのだろうか。そして、その代役としてこの女性が出てきたのか。

(…違う。あそこにいるのは、女性だけじゃない)

制限していた視力を一気に引き上げる。視界から叩き込まれる多量の情報に少し頭が痛くなるが耐える。
隼人にだけ見える世界に、答
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