第四章
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サキツメクサがですか」
「おわかりですか」
「何となくわかりました」
またコーヒーを一口飲んだ。その苦さの中の甘さを楽しむが今はどうにも切なさも感じられた。こんな味がするとは思わなかった。
「二人の通ったところにムラサキツメクサが咲いていったのですよ」
「そうですか。それで二人はどうなりました?」
私はそれについても尋ねた。
「それで」
「ある場所に落ち着いたそうです」
マスターはそう私に語ってくれた。
「そうして二人で何時までも静かに暮らしたそうです」
「ハッピーエンドですね」
そこまで聞いてこう述べた。
「よかったではないですか」
「それでどちらだと思われますか?」
私にこう尋ねてきた。
「貴方はどちらも結末だと思われますか」
「そうですね」
私は一呼吸置いてからマスターに答えた。
「僕はハッピーエンドだと思います」
「ハッピーエンドですか」
「はい、そちらの方がいいですね」
私はまた述べた。
「本当はどちらかわかりませんが」
「私もそうだと思いますよ」
マスターはこう答えてくれた。
「その方が。いいですよね」
「ええ、全くです」
この場合真実よりも幸せの方を取りたかった。だから私はそう思いたかったのだ。どうやらそれはマスターも同じようであった。
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