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SAO−銀ノ月−
第六十八話
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「みんな。悪いけど詳しく説明してる暇はない。俺とショウキが三面巨人を引き寄せたら、その向こうにある湖に思いっきり走ってくれ」

 俺を含む四者が思い思いの返答を返した後、キリトの《シングルシュート》を伴ったピックと、俺の風魔法を付加したクナイが三本、三面巨人へと飛来した。飛翔していった投擲武器は吸い込まれるように、三面巨人の三つあるそれぞれの顔面へと刺さっていく。その中で一本のクナイのみが狙い通り目に炸裂し、その介あってか、邪神のHPがほんの少しばかり削れていた。

 もちろんその程度のダメージは邪神にとってすれば、ダメージにすらなってはいなかったが……どうやら、邪神を怒らせることには成功したらしい。三つの顔がゆっくりとこちらを向くと、ギュルルルと唸り声をあげて俺とキリトにその巨体でもって襲いかかる……!

「――逃げるぞ!」

 キリトの号令に言われなくとも、俺たちは全員素早くその逃げる行動に入っていた。むしろ、キリトが最も逃げる動作に入るのが遅かったぐらいである。三面邪神はクラゲ邪神の相手もそこそこに、か弱い五人の妖精の抹殺を優先したようだった。

「うわぁぁぁぁぁああぁああぁああぁ!」

『レコンうっさい!』

 ベテランと言えども初体験に脅えるレコンに対して、俺たちのパーティーの女性陣の声が重なった。その声色と余裕の無さぶりは、女性陣とはとても言えなかったが……そしてしばしして、敏捷度のステータスに優れた俺とキリトが、先に走っていた三人へと追いつく。凍りついた湖は見えてきた、この逃走劇はもう少しだ。

「リズ、掴まれ!」

「わ、悪いわね……」

 その種族とビルドによって、二重に他の者たちより足が遅いリズの手を掴んで引っ張りながら走ると、その足下の感触が先程までと少し変わる。雪上であることには変わらないのだが、どうやら凍りついた湖にたどり着いたらしい。それでも構わずほうほうの体で逃げ回る俺たちを追って、三面邪神もこの凍りついた湖の雪上に侵入し――その姿が消えた。

 代わりに現れたのはその三面邪神と同等の大きさを誇る水柱であり、凍りついた湖は小さな妖精たちはともかく、巨大な邪神の侵入を許さなかったのだ。俺たちは三面邪神が湖の中に消えていくのを見ると、その足を止めて一息つくことにした。

「そ、そのまま沈んでてぇ……」

 ――そんなリーファの祈りも通じず、三面邪神は湖の底から再び水柱を伴って蘇って来た。その四本の腕の半分を使って器用に泳ぎつつ、湖の氷をガリガリと削りながら俺たちに接近して来る。

「泳げるなんて聞いてないわよーっ! キ、キリト! どうするの!?」

「大丈夫だ、リズ。……そろそろキリトの狙いが来る」

「……そういうことだ!」

 俺の手を掴んだまま邪神に逆ギレするリズ
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