第六十八話
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界樹》に行くには、四つあるうちのダンジョンを一つ、攻略する必要があるんだ」
「だったら、そこをクリアすれば良いんじゃないの?」
リズがそう発言するものの、レコンは苦々しげな顔をして首を振った。やはり、そんな簡単な話ではないらしい。
「そのダンジョンのボスや、このフィールドのボスは邪神って呼ばれてて……とても僕たちじゃ……アレ、見てみてよ」
レコンの指を指した方向に向かって、俺とリズが洞窟から顔だけを出して確認をしてみた。……そこにいるのは、この《ヨツンヘイム》に落ちてきた時にも見た、我が物顔で闊歩する邪神たち。確かにレプラコーン領近くにいたモンスター等とは、格が違うように感じられた。しかもそれがここでは、ただの雑魚モンスターの一種だというのだから驚きだ。
「……確かに相手が悪いっていうか、この人数じゃキツいわね……」
俺もリズもレコンも、邪神の攻撃を持ちこたえることの出来るタンクタイプではない。俺は斬り払いに特化すればその真似事ぐらいは出来るが、いつまでも続くものでもないし、それでもやはりリズのメイスだけでは火力が足りない。毒の短剣使いのレコンはなおさらだ。
「だけど、ここにずっといるわけにもいかないわよね……」
リズの言っている通りだ。正直、ログアウトしていいなら即座にするぐらいの時間帯だ。かと言って、ここでログアウトしたのでは、このアバターはこのままでやられ放題……らしい。三人で焚き火を囲みながら顔を突き合わせながら、うーん……と悩んでいると、邪神が歩く振動の他に、ある音が俺たちの耳に届いた。
……『ぶぇっくしょーい!』とでも言葉に直すのが最も相応しい、とても男らしいくしゃみの音が。
「……リズ、今お前くしゃみした?」
「……あ、あたし、あんなくしゃみしないわよ!」
……《アインクラッド》の時にたまにしてた、というのは言ってあげない方が良いのだろうか。それとも、心を鬼にして真実を告げてあげた方が面白い……もとい、良いのだろうか。そんな俺の一瞬の葛藤をよそに、レコンがいきなり勢い良く立ち上がった。
「今の……リーファちゃんのくしゃみだ!」
「は?」
レコンがいきなり発したまさかの一言に、俺とリズは揃って疑問の声をあげた。……くしゃみで人が判断出来るものだろうか……怪訝な表情をしている俺とリズの手を取ると、どこからその筋力値が出て来たのか、二人を無理やり立たせて自身はメニューを操作していた。
「お、おいレコン……」
「うん、やっぱりだ!」
フレンド登録をした相手ならば、位置が分かるのを利用し――それとも彼が得意とする闇魔法によってか――レコンは自身の直感に確信を得ていた。確かにレコンの元に届いたキリトからのメッセージでは、『近くにある町
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