第二章
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です」
ここでもアッパは驚いた。自分がここまで大胆だとは思わなかったのだ。
「宜しいですよね、それだと」
「貴方と私だけ」
「そうです」
またイハマの言葉に頷いてみせた。
「いいですね。ですから」
「貴方とですよね」
イハマはまたアッパを見た。精悍で優しげな顔はまるで絵のように端整である。月の光に映し出されているその顔を見て彼女も自分の気持ちに嘘をつけなくなった。
「そうです。僕と」
「それでしたら」
遂に彼女の心も揺れた。
「私で宜しければ」
「いえ、それは違います」
ここでアッパは違うと言うのだった。
「違う?」
「そうです、僕は貴女でないと駄目なんです」
それが彼の心だった。
「だからこそ今こうして。おわかりですか?」
「私でなければ」
その言葉が心に響く。今までなかったことだった。
「じゃあ私は」
「はい」
アッパは言う。
「私と共に。今夜は」
「わかりました」
イハマの心の最後の壁が崩れ落ちた。もうそれで決まりであった。
「では。御一緒させて下さい」
「はい、私こそ」
こうして二人はその夜湖の上で過ごした。一晩中互いに語り合った。その夜は瞬く間に過ぎていった。朝が近付くと二人は溜息をつくのだった。
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