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魔法薬を好きなように
第9話 二つの顔と微妙な関係
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モンモランシーはモンモランシーでおつきあいもしていない相手に対して、なんで怒っているのか、怒っていること自体気が付いていなかったのだが、多少は気を許し始めていたジャックに浮気癖があるのということを気に入らなかっただけ、ということに気が付いていなかった。



そうして魔法学院の馬を返して、モンモランシーについていって女子寮に向かおうとしたら、

「今日は、少し一人で居たいわ。だから、夕食の時になったら呼びに来て」

「わかりました」

モンモランシーとは特になんともないが、浮気という話を思いだすのがいやなんだろうな。それでも、普段の体面を保たせようと周辺の人間へみせたいのだろう。プライドが高いというのもあるが、体面を気にかけるタイプなのかな。

夕食までは、俺も部屋からでない方がよかろうと、部屋で実験をしていたが、夕食時になって、モンモランシーの部屋でノックをしたら

「どなたかしら?」

「ジャックです」

「今、でるから待っていて」

とそれだけの会話で、部屋を離れることになって、夕食も席は隣だが、モンモランシーと俺が直接話すのは、今日のトリスタニアの話題で同意をもとめるときぐらいだった。まわりからみたら、普段より俺への会話をふるのが少ないぐらいにしか、見えないぐらいであろう。もともと俺もモンモランシーの友人関係には積極的にかかわっていなかったしなぁ。夕食後は、いつものように食堂でわかれたが、明日からしばらくは、こんな感じなんだろうか。



その頃、ジャックとモンモランシーの二人の使い魔と主人という、微妙なバランスの上になりたっていた関係をくずしかけてたティファンヌ・ベレッタは、自宅の自室で今日の話を悩んでいた。
なんせ、初めて他人がいる前で「結婚を考えても良いかなと思っていた相手」と言ってくれたのである。今までも二人だけの時には、魔法衛士隊の隊員になったら、きちんと彼女として公言してもよいし、婚約の話にもっていっても良いとか言われていたけれど、自分を引き止める話術のひとつかもと、疑っていたところもあるからだ。
しかし、逆に「思っていた」と過去形だったのもあり、別れ話を切り出されるのかとも不安だったりしていた。

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