第9話 二つの顔と微妙な関係
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でもしてくれるならば、魔法衛士隊隊員を再度目指せるかもしれないだけどね」
「あの、ろくでなしのエギヨン侯爵ですって!」
「冗談ですよ。さすがにエギヨン侯爵の妻になるのは、嫌ですよねぇ。それに子どもが生まれたあとは、どうなるかわかりませんし。まあ、卒業後でもそれほど危なくないのは、どこかの領主の代官をねらってみるというのも、悪くはなさそうですけどねぇ」
「なんなら、貴方のご実家の代官になられたら?」
「それこそ、最後の手段ですね」
「なぜかしら?」
「今の代官には、代官見習いがついています。彼の息子でね。その地位を奪うことになるから、代官見習いに変わる職をさがさなきゃいけないけれど、あいにくと俺より年上だから、他所の領主のところへ代官にいってもらうってところでしょう。しかし、自分がその他のところにいけないのだから、紹介先なんてあるわけないんですよ。そうしたら、代官ごと出ていってもらうことになるかもしれないし、そうなると今までいた、執事やメイドもそんな俺に嫌気をさして、城そのものの運営さえうまくいかなくなるかもしれない……なんて可能性もあるんですよ」
「貴方、平民をそこまで、かっているの?」
「っというよりは、平民は我々貴族がいなくても最終的に生活はしていけますが、現在の貴族は平民がいないと食料や飲み物などは、今のレベルで維持することは不可能なんですよ」
「今のレベルの維持?」
「そう。貴族が農業など、自分で行なうってことですよ。そうした場合、今の生活レベルを維持していくことが不可能なのは、当たり前なんですよ」
「けど、そうしたら平民も生活のレベルの維持は難しいでしょう?」
「そうですね。けれども、レベルの下がり方はそんなに下がらないか、逆にあがるかもしれませんよ」
「えっ? なんで?」
「平民の中にもメイジがいるってことですよ。彼らが、純粋な兵力や、土の改良業務や、医者などに従事するのなら、貴族への納税は必要なくなる。まあこれは平民にとっての理想論であって、実際には何らかの国家が誕生するでしょうから、その納税額次第ってところですかね」
「貴方、何か考え方がゲルマニアに近くない?」
「ゲルマニアの正確な情報を知らないので、なんともいえませんが……家の領では翼竜人と共存しているから、そんな考えが思いつくのかもしれませんね」
「翼竜人と共存?」
「ええ、まあ。昔は本格的な戦いになりかかったこともあるらしいのですが、一緒に協力するならば、より互いの条件がよくなるってことでしてね。あまり詳しくは聞いていないですけど、今は貨幣の代わりとして塩がこちらから送られて、翼竜人が森の中のものをわけてくれたりしていますよ」
「まあ、その話は難しくなりそうだし、別に良いわ
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