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ローダンテとムナティウス
第三章
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ちまで読めず、こんな結末になってしまったことを後悔していた。本来ならば人として結ばれることができた筈なのに。それは適わなかった。ムナティウスに対しては申し訳ない気持ちで一杯だった。
「ムナティウス。貴方はこれでいいのかしら」
 薔薇になったムナティウスに問う。
「一緒になれたけれど。けど」
 いいとは思えなかった。彼も本当は人の姿でローダンテと結ばれたかった筈なのだから。
「ローダンテも。人として私の側にいたかったでしょうに」
 花に手をやる。だがやはり花は何も語りはしない。ただアルテミスを見ているだけであった。
「御免なさい」
 一言しか言えなかった。その目から零れた涙が薔薇に落ちる。それは床に弾けて落ちる。床に落ちると銀の粒になった。
 女神はその場に泣き崩れた。二人に対して何と言っていいのかわからなかった。言えないかわりに泣いた。そして銀の水が彼女の周りを覆うのであった。それでも花は何も語らなかった。ローダンテもムナティウスも。


ローダンテとムナティウス   完


                         2006・2・10



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