第三章
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初
ちまで読めず、こんな結末になってしまったことを後悔していた。本来ならば人として結ばれることができた筈なのに。それは適わなかった。ムナティウスに対しては申し訳ない気持ちで一杯だった。
「ムナティウス。貴方はこれでいいのかしら」
薔薇になったムナティウスに問う。
「一緒になれたけれど。けど」
いいとは思えなかった。彼も本当は人の姿でローダンテと結ばれたかった筈なのだから。
「ローダンテも。人として私の側にいたかったでしょうに」
花に手をやる。だがやはり花は何も語りはしない。ただアルテミスを見ているだけであった。
「御免なさい」
一言しか言えなかった。その目から零れた涙が薔薇に落ちる。それは床に弾けて落ちる。床に落ちると銀の粒になった。
女神はその場に泣き崩れた。二人に対して何と言っていいのかわからなかった。言えないかわりに泣いた。そして銀の水が彼女の周りを覆うのであった。それでも花は何も語らなかった。ローダンテもムナティウスも。
ローダンテとムナティウス 完
2006・2・10
[8]前話 [9]前 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ