第二章
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ーションが止まって」
「はあ」
「これだけは占えなくなるのよ。自分でもどうしてかはわからないけれど」
「では自分ではわからないと」
「ええ」
マスターの言葉にこくりと頷く。その後でカクテルを飲み干す。また同じものを頼む。
「もう一杯ね」
「どうぞ」
すぐに次のブラッディ=マリーが出された。由佳里はそれを手に取ってまた飲む。
「だから。自分でもどうしようかと思ってるのよ」
「あの方が好きなのですね」
「そうよ」
それははっきりと認めた。気持ちは偽らなかった。
「それはね。はっきりとしているわ」
「では。どうされるのですか?」
マスターはまた由佳里に尋ねてきた。
「告白されますか?」
「したいけれど」
言葉が呟きになった。視線が下に落ちてしまう。
「できないわね。何故か」
「わかりますよ、それは」
マスターはその言葉を聞いて由佳里に述べてきた。
「どうしても。臆病になりますよね」
「ええ」
マスターのその言葉にもこくりと頷く。その通りだからだ。
「仕事の時はよく言うけれどね。怖れてはならないって」
「勇気を出して告白しろと」
「ええ。占いの結果にもよるけれど」
由佳里はどちらかというと客に対して明るく積極的なアドバイスをする方である。迷っている相手にはきっぱりと教えるべきであると考えているからだ。しかし今は違っていた。
「大体はそうね」
「ではそうされてはどうでしょう」
マスターはそう提案してきた。
「御本人に。如何でしょうか」
「怖いわね」
笑みが力ないものになる。溜息と共にある笑みであった。
「そういうのって。自分自身では」
「怖いですか」
「今気付いたけれど。臆病なのよ」
自分を評してこう述べた。
「こういうことには。本当にどうしようかしら」
「迷っておられるのですか」
「そういうことよ。言おうか言うまいか」
そのことも素直に述べる。
「わからないの。自分では」
「では。こうされてはどうでしょうか」
マスターは困っている由佳里に対して述べてきた。
「こうするって?」
「とりあえず明日もここに来られて下さい」
こう提案してきた。
「明日に。如何でしょうか」
「この店になのね」
「はい」
顔を上げて問う由佳里に対して述べる。
「そうです。来られるだけなら問題はないと思いますが」
「そうね」
その言葉には何も思うことなく頷くことができた。確かにそれ位はと思った。
「じゃあ。また明日ね」
「ええ」
マスターは由佳里のその言葉を聞いてにこりと微笑んでみせた。それからまた述べた。
「では。宜しく御願いしますね」
「わかったわ」
またマスターの言葉に頷く。
「じゃあまた明日。御願いするわ」
「はい。ではまた明日
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