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夏祭りフェイズ  2
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言うんじゃないでしょうね?」

 笑っているのに殺気が漏れている華琳。他の者達はジト目で彼を睨んでいた。秋斗はいつも通りに……悪戯っぽく笑う。

「民も兵も将も軍師も王も、祭りに行く者が分け隔てなく楽しむ為に内緒にしてただけだ。新作を出してるかは店長の気持ち次第だな」

――当然出してるけど、全部の種類を食べきれない悔しさを味わって欲しいからな。

 心の中で舌を出して、不機嫌そうに見つめる華琳の視線を受け流した。

「秋兄様とてんちょーの、お考えなど読めます。てんちょーの店には、複数人で行った方がいいのでしょう」
「ちょっとずつ食べさせあうのが最善ですか。新作は確定ですねー。甘味ならよりいいのですがー」
「あなた方二人が簡単に情報開示をした時点で罠。ふふ、甘いですね、秋斗殿。では、我らも行って参ります」

 軍師の三人は秋斗の内心を読み取り、勝った、と言わんばかりの笑みを向けてから大通りを進んで行った。
 その背を見送った華琳は、それなら問題ないかとばかりの様子である。後に満足そうにため息を一つ。

「見送りのやり取りを繰り返しているけれど……あの子達の親にでもなった気分だわ」
「皆に愛されてるってこった。お辞儀したり、行ってきますって言ったり、手を振ったり……華琳にちゃんとソレ向けてくもんな」

 同じようにふっと息を付いた秋斗の言葉に、華琳は目を細めて不敵に笑って見返す。

「ふーん。なら、あなた達二人が次に出てくれるのね」
「……祭り屋台の概要を知ってる俺は最後に歩くさ。華琳達が先に行けばいい」
「ダメよ。一緒に歩く三人以外は私が見送りたいもの。あなたなんかにその役目はあげないわ。私が皆の長なのだから当然でしょう?」

 自分が皆を見送りたかったのに、と苦い顔をした秋斗に対して、華琳は勝ち誇った笑みを向けていた。
 さすがに聡い覇王には内心の誤魔化しは出来ない。

「……欲張りめ」
「ふふ、意地っ張りに言われたくないわ。雛里、存分に楽しんでいらっしゃい」
「はいっ! 行ってきます!」
「いってらっしゃい、秋斗さん、雛里ちゃん」
「また後でね、二人共」
「ふん、ちゃんと雛里を守りなさいよ!」

 手を繋いで歩き出しながら何度も振り返って空いている手を振りかえす雛里。秋斗は背中を向けたままひらひらと手を振るだけであった。
 恥ずかしがっている秋斗を可愛く感じて、雛里はクスクスと笑みを零す。

「ちゃんと行ってきますって言わないとまた華琳様が拗ねてしまいますよ?」
「いいんだ、これくらいで。華琳の望み通りになんかしてやらん」
「ふふ……秋斗さんが見送ってた側なら、華琳様は振り向かなかったでしょうね」
「クク、確かにな。ま、帰った時にただいまはちゃんと言うさ」

 浴衣姿
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