喪失‐ロスト‐part1/王子との謁見
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「パリー、喜べ!硫黄が手に入ったぞ」
サイトたちが搭乗した客船には硫黄が詰め込んであった。それを手に入れることは
「火の秘薬ではありませんか!これで我らは王家の誇りと名誉を叛徒共に示すこともできましょう!」
出迎えてきてくれた老貴族、パリーはウェールズからの知らせを聞いて大いに喜んでいた。そして視線を、皇太子と行動を共にした炎の空賊団の船長たちに移す。
「殿下をよくぞお守り成された」
「なに、協力している以上当然の事よ」
ルイズは握手しあうパリーとガルの姿を見て、彼ら炎の空賊たちが王党派たちから強い信頼を手にしていることを察知したと同時に、いくら義賊でも賊であることに変わりない彼らが、ここまでウェールズをはじめとした貴族たちから信頼されていると言うことを意外なものとして受け止めざるを得なかった。自分がもし皇太子の立場だったら彼らのことをかたくなに拒んでいたかもしれない。
「さあ、大使殿。件の手紙はこちらだ。ついてきてくれ」
ウェールズはルイズたちを見てそそくさと歩きだし、ルイズ達は案内されるがまま、着いて行った。
ウェールズの部屋はニューカッスル城の一番高い天守の一角にあった。
内部は王子の部屋とは思えないほど質素であり、家具も木製の机と椅子、ベットしかない。壁には戦局を示すタペストリーが掛けられている。
ウェールズは机の引き出しから宝石の散りばめられた小箱を取り出した。蓋を開けると裏にアンリエッタの肖像画が描かれていた。
「俺もよくトリステインの姫さんの話をウェールズから聞いててさ、あれはあいつの宝物なんだ」
ルイズたちの横で、グレンが説明した。
「あんた、あの方は王族であるウェールズ殿下なのよ?礼節をわきまえなさいよ。っていうか、なんでここまでついてきたのよ!」
賊が礼儀を知りたがるかどうかなんて考えられないが、それでもこれはピシッとしなければならないと考えるルイズとしては、王子の部屋にまでついてきたグレンと空賊船長三兄弟に納得がいかない。しかし、ウェールズは微笑しながらルイズに言った。
「いいんだよ、ミス・ヴァリエール。僕は寧ろこうして呼び捨てにし合えるだけの仲の友が欲しかったくらいなんだ。何せ、王族と言うのは個人的な交友関係がほぼ無い当然ともいえるからね」
「結構気さくな方なのね」
キュルケとしてもウェールズの空賊たちとの打ち解けようは意外だった。ウェールズは内心で王族ではない者の暮らしに憧れの感情があるのだと見た。ゲルマニア人である自分にも、成り上がりの国の人間の癖に…なんて言葉も言ってこないのだろうか。
「へえ…すごく気のいい人なんだ」
サイトはウェールズの人となりの一端を見て好印象を抱いたが、タバサそれを聞いて彼の袖を引っ張ってきた。
「だとしても、馴れ馴れしく話しかけな
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