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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇4
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脅威にはならないと判断したのだろう。だが、その頃にはジュエルシードは上昇を終えて、落下へと切り替わっていた。それを追いかけるように、アルフのみならず全員が地面へと向かい――結果として、戦場そのものが下降する。戦闘という意味では上空にいるフェイト達が有利だが、ジュエルシードの回収という意味でなら、なのは達が有利だった。何せ、何もしなくても向こうから近付いてきてくれるのだから。
「貰った!」
『甘いな!』
 リブロムの咆哮が響く。それと同時、ジュエルシードに手を伸ばしたアルフが、急激に弾き飛ばされていった。ユーノ――というか、その背中に括りつけられているリブロムが自衛用の魔法を放ったらしい。
 吹き飛ばされたのは、アルフだけではない。ジュエルシードもまた、その衝撃にあおられその軌道を替えていた。放物線を描きながら、横へと。
 ジュエルシードを追い、ビルの合間を飛ぶ。魔法陣を足場に、それにユーノが並走した。単純な速さならこちらが有利だったが――
『よう、相棒! 随分はしゃいでるようだな!』
「お前も随分と斬新な恰好をしてるようだな!」
 その背中にリブロムが括られている以上、迂闊に近づけばアルフの二の舞だ。そのうえ、ユーノの妨害も想定しなければならない。思ったように加速はできなかった。
『そらよ!』
「翼膜よ!」
 リブロムの咆哮。それが響く直前に、練り上げていた魔力を解放する。かつてワイバーンと呼ばれた魔物由来の供物。それに宿る力が顕在した。
『チィ! おら、ユーノもっと急げ!』
 自分の身体が闇夜に溶け込む感覚。それが終わり、再び肉体を取り戻した時、背後からリブロムの罵声が聞こえた――が、無視してジュエルシードに手を伸ばす。
「ダメ! 光お兄ちゃんやめて!」
 薄紅色の光球が、ジュエルシードを弾く。なのはとフェイトが追いついてきたらしい。再びジュエルシードの起動が変わった――が、今度は掠めただけにすぎない。むしろ、その場から真っ直ぐに落下し始めたというべきだろう。
「今度こそ頂き!」
「させるか!」
 猛然と地面を走り抜けていた赤い狼――アルフが、あと僅かのところでユーノの鎖に絡め取られる。だが、状況はこちらが有利だ。なのははフェイトに抑え込まれれている。ユーノが足止めをしている限りリブロムは身動きが取れない。いや――
『切り札発動ってなぁ!』
「え!? ちょ……」
 加速は一瞬だった。地面に降り立った俺に、リブロム――を背負ったユーノが凄まじい勢いで突撃してきた。直撃は避けられなかった。咄嗟に受け身を取りダメージこそ軽減したが、それでもかなりの距離を吹き飛ばされる。例によって、吹き飛ばされたのは俺だけではない。ジュエルシードもまた、三度跳ねる。狙い澄ませたように、ほぼ並行して飛ぶ、なのはとフェイトの間辺りに。
「―
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