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その魂に祝福を
魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇4
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手を引くべきなのだろうか。そんな思いがよぎり、慌てて首を振る。ジュエルシードはユーノが見つけたものだ。あの子が何で欲しがっているかは分からないが、彼に返すのが正しいと思う。けれど、もしもあの子には危険なジュエルシードを使ってでも叶えたい願いがあるとしたら。そのために、光も協力しているとしたら。
 それなら、本当にあの子達を止める事が正しい事なのだろうか。あの子の願いを叶えてから、ユーノに返してもらえばいいのではないか。
(私がしたい事は一体何なの?)
 誰のために何がしたいのか。私にとって覚悟と呼べるもの。当然そんなものは分かっていると思っていた。けれど――
「なのは、どうかしたの?」
「……ううん。何でもないよ」
 見回りに行っていたユーノが帰ってくるまでの間。不思議とその答えが思い浮かぶ事はなかった。




 ふと気付くと、周囲は真っ赤に染まっていた。
 頭蓋骨の中身や内臓をぶちまけ、だらしなく転がる肉塊。どうやら人間の死骸らしいが、その数を数える事は出来そうになかった。どこまでが一人分か分からないし、そもそも数が多すぎる。
 ただ。これがいずれ腐り果て白骨化すれば、見慣れた光景に少しは近づくだろうが。
 死肉に覆われた街を歩く。どこかで見たような街だった。思い出せない。思い出す必要もないだろう。興味も無く、先を急ぐ。
 その途中、たかだか剣の一本や二本構えた程度で自分を殺そうとした誰かを八つ裂きにする。その誰かは、どこかで見覚えがある気がした。だが、今となっては思い出せない。その肉塊が何だったかなんてどうでもいい事だ。
 すぐに、その誰かに似た男が襲いかかってきた。先に殺した若造よりは厄介だったが、結果は変わらない。もう一人、同じように襲いかかってきた女の手足をむしり取り、その剣で串刺しにした。
 その女に良く似た女が涙を湛えながら、殺しに来た。何かを必死に呼びかけていたが、脳天から真っ二つにしてやるとそれだけで黙ってしまった。
 同じように涙を流す女は、特に抵抗もしなかった。いや……できなかったというべきか。最期の瞬間、自分を捕えようとするかのように腕を回してきたが、あまりに非力すぎた。そのまま引き千切る。
 出来損ないの永遠に囚われた吸血鬼達とその侍女達の心臓を抉り出し、握り潰して血を啜ってやった。だが、さすがに死ににくいらしい。それでもまだ生きていた。同じ不死のよしみだ。姉妹仲良く、その場で火葬してやる。
 泣きながら、それでも必死に睨みつけ噛みついてきた気の強そうな小娘は、内臓を引きずり出してやるとようやく大人しくなった。
 言葉を話すネズミと狼。そして、白い少女と黒い少女が最後に立ちはだかる。異界の魔法を使う彼女達は、確かに厄介だった。だが、所詮は自分の敵ではない。ネズミと狼を生贄として放った、た
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