魔石の時代
第二章
魔法使い達の狂騒劇4
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と魔法が使えるようになりたいの!」
『あのなぁ……。いくらオレが稀代の魔術書だからってオマエらの魔法の面倒まで見れるかよ。それに大体、オマエに魔法なんぞ教えた日にはオレが相棒に丸焼きにされるじゃねえか。何のために相棒が一人で探しに行ったと思ってんだ』
ため息をついてから、リブロムは続けた。
『そもそも、何だって相棒を止めたがってるんだ? 取りあえずあの石っころがなくなりゃ問題解決なんだから、放っときゃいいじゃねえか』
「でも、あれはユーノ君が見つけたものなの!」
『だからって何でオレが相棒の邪魔しなけりゃならねえんだよ。大体、相棒だって馬鹿じゃねえんだ。あの嬢ちゃんに協力するにはそれ相応の理由があんだろ。なら、邪魔するだけ野暮ってもんだ。それに、オマエが邪魔さえしなけりゃさっさとケリをつけて帰ってくるだろ。ついでにそのビー玉も手放せば相棒の心配事もなくせるぞ』
そう言われてしまうと、言いかえすのも難しかった。確かに私が家で大人しくしていれば、光は誰にも邪魔されずジュエルシードを集められるだろう。それに、光の願いもかなえられるのだろう。本当に、光の負担になりたくないなら、それが一番正しい選択なのかもしれない。でも、
「でも……」
納得できない。何かが納得できない。それは、恐怖にも似た感情だった。このまま置いて行かれれば私はまた……私はまたきっと――
『前にも言ったが……改めて、一つだけ教えてやる』
開けてはならない禁断の扉が開かれる直前、リブロムが言った。
『優れた魔法使いの条件ってやつだ。それは、強大な魔力か? 多彩な魔法か? いい
や、違う。必要なのは強靭な意志。つまり、覚悟だ。それこそが優れた魔法使いの条件だと言える』
「覚悟……」
『どうやらオマエ……というより、そのネズミ野郎どもの魔法じゃとうに廃れた考えらしいが、魔法の基本は代償だ。オマエはその力で何をする? 何を願う? その為に、一体何を代償に捧げられる? その覚悟がねえ限り、小手先の魔法だけ覚えたって無駄だ。いつか魔法に溺れて自滅する』
「魔法に、溺れる……」
それは、例えば今まで封印してきた暴走体のようにだろうか。確かに、私はああならない、なんてそんな保証はどこにもないのだ。
『忘れるなよ。魔法ってのは本来恐ろしいものなんだぜ?』
そう言ったきり、リブロムは目を閉じ黙ってしまった。
「覚悟……」
私にとっての覚悟。それは――光の力になりたいという想いだ。けれど、それならリブロムの言う通り、家でじっとしているのが一番いいのかもしれない。ようやく魔法が使えるようになったばかりの私では、光は言うに及ばず、あの子にも遠く及ばないのだから。
それに、そもそも光は私に魔法使いになって欲しくないのだ。それなら――
(ダメ、それはダメ!)
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