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【IS】例えばこんな生活は。
例えばこんなガチバトルは流出させられない
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。ニヒロの体の何十倍もあろうかと言う膨大な質量が立ちはだかり、それに大地を割る一刀を押し付けられているかのような気分だった。空間が諸共的に回った。間違いない、これは――

今までオウカは本気で相手を打倒しようと考えたことはない。それは他の姉妹を助けるためだったり、ゴエモンを守るためだったり、ただ単にじゃれているだけだったり・・・・・・ただの一度も、相手を正面から打ち据えようとはしなかった。

優しいから。
相手を本気で傷つけてしまうのが怖いから。
みんなで楽しく暮らしていたいと切に願っているから。
怒りに身を任せたのは、それを突き崩されたのだと思ってしまったから。

だが、この激情はそれと決定的に違った。敵に傷をつけられたことによる闘争本能の着火とは異なるものだ。つまりこれは――人間でいう愛か、母性本能から生まれ(いずる)もの。いや、もう愛でいいだろう。オウカはゴエモンを愛しているから、恋する乙女は無敵なのだ。

「・・・・・・すごいな。大切な人がいれば、こんなにも強くなれるものなのか」

もはや剣の柄を握るだけでも精一杯になりつつあったジェーンは感銘を受けたように呟いた。

「ニヒロ、これはもう駄目だ。大人しく負けよう」
『ママ、ママが喧嘩を始めたのは何で?』
「それは、私の苦労も知ってもらいたかったし・・・あいつ、人の気も知らないでいつもぽけっとしてるから、ちょっとは考えて欲しかったんだ」
『パパにその思いは伝わった?』
「だからそれをオウカが邪魔してるんだろ。考えてみれば、暴力に訴えるのも間違ってるような気がするし・・・」
『ママ、パパに言葉で説明できるの?口下手だから無理だと思うなー』
「こら、そこは嘘でも『ママにならできる』と言え。お世辞のへたな奴」

もう次の瞬間にはすべてのバリアエネルギーを斬滅させようとするIS究極の一刀が振るわれんとするのに、2人の会話はどこまでもいつも通りだった。だが――

『オウカお姉ちゃんの事凄いってママは言ったけど、それじゃ臨海学校で戦ったママは凄くなかったの?』
「結果的に任務失敗したし」
『でもママは命令違反に近い事をしてまで、あの時まだ目覚めていなかった感情を奮い立たせた。私はそれは凄いことだと思う』
「生まれたてのくせに一丁前な同情するんじゃないよ」
『むう、卑屈。・・・ママの本気ってそんなものだったの?オウカお姉ちゃんがダメって言えばすごすご引き下がるのがママの本気な訳?』
「・・・・・・ッ」

実際にはわずか0,1秒にも満たない時間の間で行われている、一つの体に宿る2つの魂の意思疎通。そのわずかな時間の間にジェーンの精神は驚き、沈み、悔しがり、そして次の感情に移る。
感情を殺していた頃のジェーンならば考えられないほどの不定形な精神状態。エ
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