悪魔の島編
EP.17 デリオラ崩壊
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「あのお面、どこに行った!?」
デリオラ復活と崩壊の騒動のさなかに、ザルティが忽然と姿を消していた事だ。
悪魔デリオラの力を狙ったただの子悪党であれば放っておいても良かった。だが、あの仮面の魔導士をそうと断じるには、怪しい要素が多すぎる。
“時のアーク”という失われた魔法、熟練の域にまで達しているほどに卓越した力量、ゼレフ書の悪魔であるデリオラに接近した事。
そして……
「アイツ……何故、俺の事を知っている?」
無意識に左の二の腕を撫でながら、ワタルは自分の正体を口にしたザルティへの疑惑を口にする。
すでに遺跡からも離れ、深い森の中での独り言だったが、それに答えた者がいた。上から振ってきた声にワタルは振り返って見上げる。
「ヤツボシの名は有名ですよ?」
「そうかい……だが、お前は有名な方の噂で俺を知っている訳ではないみたいだな?」
「ああ、『ヤツボシは不幸と破滅を呼ぶ』というやつですかな? 無論、あのような不確かで根拠もないものであなたを存じている訳では無いですよ」
「不確かね……まあいい。そんなことより――」
木の枝の上に居座り、先ほどと変わらず、にやけ笑いを口元に張り付かせるザルティに鼻を鳴らし、ワタルは眼光を鋭くさせ、射抜くような視線で見ながら続きの言葉を発した。
「いつまで下手な変身をしているつもりだ?」
「フム……まあ、あのような変身魔法が使えるなら驚く事も無いわね」
「知り合いに変身のスペシャリストがいてね……って」
先の戦闘で変わり身に使わせた変身魔法の事を言いながら、ザルティは突然女言葉に変え、仮面を外して変身を解いた。
さほど驚かなかった彼……いや、彼女とは対照的に、ワタルは変身を解いた姿に目を見開いて驚く。
「アンタは……確か、ウルティアといったか。なんで魔法評議会の検証魔導士がこんなところにいるんだ?」
仮面を片手でもてあそぶ、白い着物に女性らしい肢体を包んだ長い黒髪の女は、魔導士であれば誰でもその存在を知っている評議院のメンバーだった。
デリオラの調査にでも来たのかと訝しむワタルだったが、すぐに、それは無いと思い直す。
もし、評議院がデリオラを調べようとするなら、たった一人で調査を命じるはずがない。
人員に乏しい闇ギルドやリオン達のような有志の一派などとは違い、評議院には一般の魔導士ギルドよりもはるかに潤沢な資金と人材があるのだ。仮に単独での潜入調査でも、彼女のような顔の知れた、重要な地位にいる物がやる事ではない。
ではなぜ彼女は単独でここにいる?
陰謀めいたものを感じるワタルに、ウルティアはクスクスと笑いながら話す。
「そんなに警戒しなくてもいいわよ。どうせあなたでは私に何
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