悪魔の島編
EP.17 デリオラ崩壊
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グレイ! あの氷を解かすのにどれだけ時間が掛かったと思ってるんだ!! 同じことの繰り返しだ! いずれ氷は溶け、再びこの俺が挑む!!」
「これしかねえんだ。今、奴を止められるのはこれしか……!?」
デリオラにこの島を、あの村を故郷やブラーゴの様に滅ぼされる訳にはいかない。それではウルが自分の身を犠牲にしてまでこの悪魔を封じた意味が無くなる。
そう覚悟を決め、禁じられた魔法を使おうとしたとき、グレイの前に2つの人影が現れた。
「……」
「俺はアイツと戦う」
「ワタル! ナツ!」
黙ってたたずむワタルと、一言だけ発したナツだ。
2人ともグレイたちに背を向け、デリオラと相対している。
魔法の射線を遮り、こちらを見ようともしない2人に苛立ち、グレイは声を荒げた。
「どけっ、邪魔だよ!!」
ナツが振り返ると、グレイは怯んだ。
彼の顔には明らかな失望や呆れと言った表情があったのだ。今まで何度も拳を交えてきた相手ではあるが、ナツがこんな表情を自分に見せた事は無い。
「死んでほしくねえからあの時止めたのに、俺の声は届かなかったのか」
「ナツ……」
「やりたきゃやれよ、その魔法……俺は絶対あきらめねえぞ!!」
そう言って再びデリオラの方に向き直るナツ。
ワタルは『素直じゃねーな』と内心でこぼしながら、しかしこんな状況でも変わらないナツに愉快さを覚えていた。
だが、今やるべきはそれではない。
「戻ったら説教だと言ったはずだがな、馬鹿野郎」
「ワタル……」
腕に魔力を循環させながら、ワタルはグレイに言う。
その言葉には怒りが僅かに漏れていた。
グレイが何を思って、師と同じように身を滅ぼすような魔法を使おうとしているのか、彼の境遇を聞けば、想像するのは容易い。
だが、だからと言って納得できるわけが無かった。
ウルが弟子・グレイに何を託したのかは知る術は無い。
だが、そんなワタルでも、1つだけ確信を持って言える事があるのだ。
「弟子に死んでほしい師匠がいるものかよ」
縋りたいだけの希望かもしれないが、そう呟くと、ワタルは大木でも一発で輪切りにできそうなほど巨大な手裏剣を換装、魔力を込めながら振りかぶった。
「グレイ! それに、リオンと言ったな……よく見ておけ。これが――」
デリオラがかつて都市を破壊した腕を振り上げれば、ナツはワタルの隣で拳に炎を纏わせて闘志を燃やし、グレイはかつて味わったデリオラのもたらした破壊を幻視し絶叫する。
そしてワタルは――
「――お前たちの師匠の力だ!!」
言霊を乗せるように声を張り上げ、渾身の力を込めて手裏剣を投げた。
弧を描きながら、手裏剣はデリオラの腕に当たり……紙
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