悪魔の島編
EP.17 デリオラ崩壊
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ると決めるのは早計だろう、とワタルは考えを巡らせた。
すると、先ほどのつぶやきが聞こえていたのか、ザルティは軽口と共に周囲の岩を劣化させてバラバラにし、散弾銃のようにワタル目掛けて打ち出した。
「珍しい魔法ゆえ、利用しようとする輩も多いのですよ」
「そうかい……“魂威・防壁”!」
躱そうかとも考えたが、後ろにはナツがいる。
そう考え、ワタルは鎖で十分な大きさの円を作り、魔力の膜を張って岩のシャワーを防いだ。
「ほお、それがうわさに聞く“魂威”ですか。能力系のような変換なしの純粋な魔力……確かに普通の魔法とは異なるようですね」
「――ナツ、仕掛けるぞ。準備しろ」
「おう!」
「ほう?」
ザルティの興味ありげな言葉を無視し、ワタルはナツに合図した。
明らかに意味有りげな行為に、ザルティは警戒するが、すぐに呆れた声を漏らす。
何らかの策を講じたと思ったのだが、ワタルの合図を受けてナツが取った行動はそれまでとなんら変わらない突撃だったからだ。
「芸が無いと言いましたよ、火竜!!」
「――どうかな?」
「なに!?」
すでに対策のとれている攻撃に対して、対処法を変える必要などない。
そう言わんばかりに、ナツの突進に合わせて、横からぶつけて勢いを削ごうと水晶を操作しようとしたザルティだったが、突如その行動を止めた。
走りこんでいるナツと待ち構えているザルティの丁度中心辺りの上空にワタルが現れたのだ。
見れば、先ほどまで鎖鎌を構えていた手には忍者刀が握られている。向上した身体能力に任せて跳躍したそのスピードは、呆れ、油断していたザルティには不意を突いたものだった。
「“魂威・爆”!!」
着地に合わせ、忍者刀を握っていない方の腕に魔力を込めてしならせ、岩場に叩きつける。
ワタルが魔力を放出、更に爆発させた事によって岩場は砕けて細かいちりとなり、ザルティの視界を妨害した。これではナツに水晶を当てることは出来ない。
「む、煙幕か!? ならば……天井よ、時を加速し朽ちよ!」
ならばと、ザルティは水晶を引っ込め、天井の岩の時間を未来へ。強制的に老朽化させ、降り注ぐ石を周囲に展開し、たった今煙幕から出て来たナツや未だ煙幕の中にいるワタルを狙おうとした。
「その荒ぶる炎は我が“時のアーク”を捉えられますかな」
「アークだかポークだか知らねえが……この島から出て行け!!」
煙幕に突っ込んだ勢いのまま出て来たナツはザルティ目掛けて跳躍、拳を振るって迎撃の岩を吹き飛ばそうとしたが……
「ガフッ」
的確な迎撃に、体を打たれナツはのけぞった。
無様なナツの姿にほくそ笑むザルティ。ワタルが講じた策というのもどうせ、
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