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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第1話:開戦前夜
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を不安に思うものもいたが、多くはスペースノイドの
独立の旗の下に戦えることを喜んでいた。

指揮官としての立場からレーマーをたしなめたルツであったが、
彼自身も連邦との戦争がいつ始まってもおかしくないと感じてはいたし
他の士官とも密かにそんな話をしてはいた。
だがルツは戦争を歓迎する多数ではなく、不安視する少数派に属していた。
とはいえ連邦のやり方に不満を持っているのはルツも同じであり、
連邦にひと泡吹かせてやりたいという思いもあって、彼の心中は複雑だった。

「まあ、俺みたいな下っ端が気にするようなことじゃないんだろうけど・・・な」

ルツは自分に言い聞かせるように呟くと、部屋の明かりを消して目を閉じた。





翌日、公国軍の軍関係施設が集まるサイド3・2バンチコロニーの軍港へと
帰港したコリオランから下船したルツは、バッグを担いでコロニー間の
移動に使われるランチの乗り場へと向かう。
乗り場へと到着すると、コリオランと同じ艦隊に所属する艦に
乗り組んでいたであろう軍人たちが行列を作っていた。

最後尾に並んだルツは10分もすればランチに乗り込むことができた。
軍人たちで満席となったランチは、30分ほどでルツの実家がある
8バンチコロニーに到着した。

無重力の宇宙港ブロックから居住区に向かって降りるエレベータで
居住区に降り立つと、ルツはバスターミナルへと向かう人波から外れて歩いていく。
5分も歩くと彼の姿は一軒家が立ち並ぶ区画へと入っていた。

そして赤い屋根の家の前でその足を止めると、門を開けてその敷地に入り
玄関ドアの脇にある呼び鈴を押した。
ややあって、鍵の外れる音とともにドアが開きくすんだ金色の髪を
2つのお下げにした女性が顔を出した。

「お帰り、エルネスト」

「ただいま、お袋」

ルツはかぶっていた略帽を脱ぐと母親に向かって微笑んだ。





5日後、生まれ育った実家でちょうど居合わせた姉と久しぶりの会話を交わし、
その息子である甥とさんざん戯れたルツは両親たちに見送られて家を出た。
エレベータのある方に向かって歩き出したところで肩を叩かれ足を止めた。
振り返った先にはスーツを着た彼の父親が立っていた。

「私も港に行くんだ。 一緒に行こう」

「了解、親父」

ルツはぶっきらぼうにそう言うと前を向いて歩きだした。

「なあ、エルネスト。 軍の様子はどうだい?」

「どうって、どう言う意味だ?」

「訓練がどうとか、そういうことだよ」

父親の質問に対して質問で返し、さらなる答えが父親から返ってくると
ルツは肩をすくめて首を横に振った。

「それを喋ったら俺は軍紀違反で銃殺刑だ」

「それは、相手
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