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ジオン独立戦争記〜名もなき兵士たちの転戦記
1.エルネスト・ルツ中佐編
第1話:開戦前夜
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戦闘艦である以上、兵装や格納庫などにできるだけスペースを割くので
当然と言えば当然ではあるが、それでも、チべ級やグワジン級と比べると
乗組員一人あたりのスペースは明らかに見劣りする。
−−−ザビ家専用艦のグワジン級と比較するのが間違いではあるが・・・。

とにもかくにも、自室に戻ったルツは部屋の中にひとつだけある椅子に
腰を下ろすと、机の上に置かれた官給品の端末を開いて今日の日誌を書き始めた。

「今日も訓練でした。明日も訓練でしょう・・・マルっと」

日誌を書きながらひとりつぶやくルツであったが、本当にそんなことを日誌に
書いているわけでは無論ない。
実際には一日の課業とその反省、そして小隊に所属する兵員の健康状態・精神状態
に至るまで事細かに記している。 
実際、ルツは几帳面な性格であり、部屋の中の隅々まできちんと整頓されている
ところからもそれが窺える。

日誌を書き終え隊長の端末へと送信すると、ルツは椅子の上で大きくのびをしてから
机上の端末をパタンと閉じた。
と同時に、彼の部屋のドアをノックする音が部屋の中に響く。
どうぞ、とルツが声をかけると圧縮空気がドアを開けるプシュ、という音とともに
2人の若者が顔をのぞかせる。

「小隊長。飯でも食いに行きませんか?」

2人のうち癖のある金髪の方がルツに向かって声をかけてきた。
彼はルツの小隊に所属する軍曹であり、名をハインリヒ・レーマーという。
ちなみに、もう一人はヨハン・メーゲン伍長という丸刈りの青年である。
彼ら2人は未だ20代前半であり、ルツよりも5歳以上年少である。

レーマーの言葉を受けて、ルツは机に手をつき立ち上がる。

「おう、行くか!」

3人は通路に出ると食堂に向かって歩き始めた。

「中尉。 最近毎日のようにMS戦の演習やってますけど、
 なんかあるんですか?」

「なんかって?」

食堂に着き、列の最後尾に並んだところで真面目な顔をしたレーマーが尋ねると、
ルツは肩をすくめながら返す。
するとレーマーは難しい顔をして頭をかき、考え込み始める。
しばらくして列が進んでもレーマーは考え込んでいてそれに気付かない。

「軍曹、進んでます」

「んっ、悪い」

メーゲンの指摘に反応してレーマーは顔をあげ、自分の前に大きくあいた列の隙間を
早足で埋め、カウンターの向こうに居る食事担当の乗組員から差しだされた
トレーを受け取る。
メーゲンとルツも自分の分を受け取ると3人は連れだって食卓の空いたスペースに
並んで腰を下ろした。

「で、さっき言ってたなんかってのは何か思いついたか、軍曹?」

トレーの上のサラダをひと口食べたルツが尋ねると、肉をほおばっていたレーマーは
慌てて飲み
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