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妖精の義兄妹の絆
六つの鍵
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血の匂いがする…。」

ダッ

「ちょっと、ウェンディ!!待ちなさいよ!!!」

ダッダッダッダッダッ

シャルルの静止を聞かずにウェンディはただ匂いがする方へひたすら走った。
(「お兄ちゃん……!!」)
5分くらい走り、角を曲がったその先に、倒れている二つの影が見えた。
「おに…!!!」
ウェンディはタクヤを呼ぼうとしたがすぐに口が詰まった。
そこにはエマを抱えたまま血塗れで倒れているタクヤの姿があったからだ。
幸い、エマはまだ軽症で済んでいたが、タクヤの方は重症だった。
「…お、お兄ちゃん…?」
ウェンディは唾液を飲み込み、声を震わせながらタクヤを呼んだ。
だが、返事はなかった。指先一つ動かない。
「ねぇ…お兄ちゃんってば…。」
ウェンディはタクヤの体を触ってみたが、タクヤの体はひんやりと冷たかった。
ウェンディは涙をボロボロこぼしながらタクヤの名前を呼び続ける。

ぽた ぽた

だが、それでも返事がなかった。
「…いやだよ。…いやだ!!いやだ!!いやだ!!お兄ちゃん!!!起きてよ!!!!起きてよ!!!」
ウェンディは治癒魔法をかけながらタクヤの体を揺する。しかし、何も反応がない。
「起きてよぉ…。私を一人にしないでよぉ…。」
ウェンディの顔は涙と鼻水でグシャグシャになっていた。
少し遅れてシャルルもやって来たが、リアクションはウェンディと一緒だった。
「うえっ、ひっ。」
シャルルは泣きじゃくるウェンディをただ背中から見る事しかできなかった。
シャルルの目にも涙が滲んできた。
「うわぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「っ…。」
「「!!!!」」
二人はタクヤの指が動いたのを見逃さなかった。
「ったく……、…うるせぇな……。ちょっと、気絶してた…だけだよ…。」
「お兄ちゃん!!!!」
「なんだよ…ウェンディ……。顔、ひでーこと…になってるぞ……。」
タクヤは笑いながらウェンディの顔を見てそう言った。ウェンディは涙と鼻水を腕で拭い、タクヤに笑って見せた。

ムクッ

「ダメだよ!!!まだ立っちゃ!!!!」
「そうも言ってらんねぇ…。アイツに、まだ…!!」
「それでも回復するまでダメ!!!今度は本当に…。」
ウェンディは涙を浮かべながらタクヤを止める。タクヤもそんなウェンディを見て思い止まったのか、素直に横になった。「なら、最初にエマを回復させてくれ…。エマも怪我してるから…。オレはその後でいい。」
「…わかった。すぐに回復させる!!」

パァァ

そう言ってウェンディはエマに治癒魔法をかけ始めた。
「…ん。」
「エマ!!気付いたんだね。」
エマは意識を取り戻した。エマの回復にはそれほど魔力と時間がかからなかった。
「終わったよ。これでエマは大丈夫。」
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