少女は龍の背に乗り高みに上る
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に曹操だけは地位を上げたまま生かしちゃダメだ。治世では絶対に勝てない化け物なんだから。
内心で言うも、口には出さない。
反董卓連合が終焉した時点で、大局の展開が彼女には見えていたのだ。自分よりも短期間で新しい方策を数々打ち立て、取り込み、強大になっていった曹操。そんな相手が治世で手を拱くわけがあろうか。
政治の改革、民の認識の向上……どちらもこの時代にしては異常に過ぎる速さで上昇していっていた。それも、軍事に力を注いでいるにも関わらず。
数多の政策や改革を成功させる事の出来る人材の豊富さ、というのは有力者達が期待を受けている事に他ならず、切磋琢磨してより強大になるのは当然であろう。何より……曹操の才と器は、大陸でも並ぶモノが居ない。天は二物以上を与えた化け物をこの世に落としたのだ。
そして、曹操が黒麒麟をモノにしているのも大きい。
二人の大徳が分けられた、というのが何より大きかったのだ。
劉備は単体でも、確かに異質な存在だと劉表も一目置いていたのだが、黒麒麟が離れたという事実が内部に澱みを残していると予想した。
治世になればなる程に、その澱みが浮き上がっていくことであろう。そうなれば、その隙を曹操が見逃すはずが無い。ましてや藍々の友にして一段上の能力を有している鳳雛が、袂を分かった劉備の思う様に進めようとするか。
故に彼女は、乱世の内に曹操を弱体化させる為に袁家の手助けを指示したのだ。次の戦で殺されれば良し、勝ったとしても戦力を少しでも多く減らせれば、と。
劉表の頭の中では既に、乱世の終わりまでの道筋が思い描かれていた。そしてその為の方策も、頭の中には出来ているのだ。
賢龍が長く積み上げてきた経験と知識、そして王の先見には、若い智者では届き得ない。
「まあいいや。自分で考えろ。とりあえず片方だけ却下な。馬の一族は放っときゃいい。あいつも病気だし、望み通り馬の上で死ぬだろ。劉備と一緒に劉璋を日陰の隅に押し込むのが最優先だ。オレ達の力を付けて、来るべき大戦への備えを充実させなきゃならねーな」
自分で考えろと言われれば、もはや疑問を返す事は出来ず。藍々は驚愕と恐怖に支配されながらも何故なのか思考を練り上げていく。
「母上は……漢の忠臣である馬騰様を切り捨てるとおっしゃるのですか……」
ただ……娘が行う義に従った反論を封じることまでは出来なかった。
菜桜は握った拳を震わせながら、非情な母を睨みつけた。
「あん? あー……だからお前はオレに届かないんだ」
哀しみを存分に含んだ視線。その意味を理解出来ず、彼女の娘は不快気に視線をぶつける。
見返す劉表は心底から呆れかえっていた。
――感情なんざ切って捨てろよ。理と利で判断を下せないからお前は王に足りえない。公孫賛を切り
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