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万華鏡
第八十四話 リハーサルその十

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「だから将来のこともね」
「そのことも」
「どうなるかわからないから」
「たまたま進んだところで決まるってこともあるし」
「その将来が」
「それで」
「人生って偶然も多いじゃない」
 それは神や仏から見れば定めていた運命でもだ、人から見れば偶然になる。景子はその見方から琴乃と彩夏に話すのだった。
「果たしてどうなるのか」
「それもわからないから」
「だからなのね」
「経済学部に行っても文学部に行ってもね」
 今二人がそれぞれ考えている様にというのだ。
「いいんじゃないかしら」
「とりあえずそこに行こうって思っても」
「それで進んでもいいの」
「ええ、ゆっくり考えたらいいじゃない」
 今すぐになくとも、というのだ。
「時間はあるから」
「だからなの」
「今は」
「そう、考えていこう」
 今すぐに結論を出さずに、というのだ。
「じっくりとね」
「ううん、じゃあ」
「今は」
「そう、考えよう」
 これが景子の二人への言葉だった、そしてだった。
 二人はとりあえずだ、こう言った。
「まあじっくりね」
「考えてみるね」
「かなり時間かけて」
「そうして」
「そうしてね。それでね」
 ここで景子は話が一段落としたと見て話題を変えた、今度の話題はというと。
「今はじっくりと休んで」
「そうね、お家に帰って」
「そのうえで」
「それで明後日ね」
 話はこれのことだった。
「ライブ頑張ろうね」
「そうね、ライブね」
「卒業ライブね」
「三年生の人達を見送るね」
「それね」
「それをしてね」
 そして、というのだった。
「一年締めくくろうね」
「何かあっという間だったね」 
 琴乃は景子のその言葉を聞いてしんみりとして述べた。
「長かった様で」
「そうよね、この前入学したって思ったら」
「それがね」
「もう終わりね」
「寒かったのに少しずつ暖かくなってきて」
「三月になってもうね」
「中頃だからね」
 冬が終わりだ、寒さも和らいできてというのだ。
「春になってきたのね」
「また桜咲くわよ」
 景子は目を細めさせてこうも言った。
「もう少ししたら」
「春になったら」
「そう、春になったらね」
 その時にというのだ。
「また桜が咲くわよ」
「春になるからね」
「あと少しだから」
 春、桜が咲く時はというのだ。
「楽しみにしていよう」
「そうね、暖かくなってね」
「桜見られるわよ」
「桜が咲いたらね」
 その時のこともだ、琴乃は笑顔で話した。
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