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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三十八話 繁栄と未来
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な武勲を上げた軍人にのみに授与される筈だ。
「宜しいのですかな、ヴァレンシュタイン委員長に双頭鷲武勲章を授与するなど。帝国内で反発は有りませんか。正直、同盟内の反応よりも帝国内の反発の方が心配ですが……」
私が問い掛けるとレムシャイド伯が頷いた。
「御心配はごもっとも。しかし軍人としての力量については帝国人の全てが認めています、恐るべき相手だと。そして今回両国において結ばれる和平において最も尽力したのが彼である事も理解しています」
「……」
「正直にお話しましょう。帝国政府としてはこれを機に彼と彼の家族の名誉を回復したいと考えているのです」
「それは……」
言葉を続けようとして口を閉じた。なるほど、帝国が考えているのはそれか。となれば簡単ではないな。私の思いが分かったのだろう、レムシャイド伯が私に頷いた。
「彼は本当の意味で反逆者ではない、その事は皆が分かっています。不当にも家族を殺され命を狙われ帝国を追われた。亡命者、反逆者にならざるを得なかった……。しかし已むを得ぬ事とはいえいささか人を殺し過ぎました。その事で帝国内には彼に対する反感、憎悪が少なからずある」
「……そうでしょうな」
レムシャイド伯は沈痛な表情をしている。ヴァレンシュタインは誰よりも和平を望んだ、そのために大勢の帝国人を殺した。彼を良く知れば知るほどその皮肉さに胸が痛むだろう。口中が苦かった。彼を大量殺人者にしたのは帝国だけの責任ではない、同盟にも責任は有る。帝国も同盟も彼を大量殺人者に追い込んだのだ。責任の一端は私にも有るだろう。
「今のままでは名誉回復は難しい、帝国政府はそう考えていました。しかし今回、図らずも彼は帝国のために大きな功を立ててくれた。こういう言い方はなんですが彼の功績を大体的に公表し双頭鷲武勲章を贈る事で免罪符としたいのです」
「なるほど、そして名誉回復を行いたいというのですな」
「はい」
少しの間沈黙が落ちた。レムシャイド伯は視線を伏せている。要するに帝国は同盟屈指の実力者となったヴァレンシュタインとの関係を改善したいのだ。それもこそこそと隠れてやるのではなく公然とやろうとしている。
「名誉回復は何処まで踏み込まれるのですかな。例のカストロプ公の事ですが……」
「……全て公表しようと帝国政府は考えています」
「!」
思わず“本気ですか”と問い掛けそうになった。レムシャイド伯の言葉が事実なら帝国政府は自らの非を認めると言っているに等しい。名誉回復どころではない、これは謝罪だ!
「カストロプ公の事ですがあれはリヒテンラーデ侯一人の責任とはブラウンシュバイク公もリッテンハイム侯も考えていません。リヒテンラーデ侯を庇うわけでは有りませんがあの当時はああいう策を施さなければ帝国を保てなかったのは事実です。アマ
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