35章 竜太郎、竹下通りで、デートとスカウト (1)
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は、壮大なものである。世界に通用するアーティストや
エンターテイメント(娯楽)を創造していくこと、そして、
そんな芸能活動を志す仲間を、経済的にも支援する、
国際的な企業に、クリエーションを育て上げることであった。
竜太郎は15歳のころに読んだ北村透谷の言葉に
強烈な衝撃を受けている。
その言葉とは、「恋愛は人生の秘鑰なり、
恋愛ありて後人世あり、
恋愛を抽き去りたらむには人世何の色味かあらむ」
という書き出しで始まる『厭世詩家と女性』という評論の
書き出しの言葉であった。
秘鑰とは、貴重な錠前の意味である。
つまり、人生の扉を開け閉めする錠前が恋愛ならば、
恋愛を通らなければ、人生には入れないということであり、
恋愛があって、初めて、その後に本当の人生があるという
ことを、透谷はいっている。恋愛を引き去ったときは、
つまり恋愛のない人生には何の色味、色合いもない、
そんなことが、この透谷に短い文章には記されている。
15歳の感受性ゆたかな竜太郎には、衝撃的な言葉であった。
……これこそ、人生と戦う文学者、詩人の言葉だよな!
北村透谷こそは、世界に誇れる日本の文学者さ!……
竜太郎は思って、透谷に心酔したのだが、当時の高校の
国語の女性の教師は、鼻で笑いながら、「竜太郎くんも、
若いんだから、恋愛しないとね」といって、透谷のその言葉に
共感もせずに、微笑むだけであった。
≪つづく≫
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